佐川宣寿・前理財局長の証人喚問を元官僚たちはどう見たか。佐川氏より財務省で2年先輩で、親交のある寺田稔・衆院議員(自民党)は「彼としては知り得る範囲で誠実に答弁しています。捜査上のものについては答弁を差し控えるという場面も確かに多かったけど、これは官僚に限らず、法的に認められている部分ですから、彼が言える部分は全部言ったと思っています」と弁護する。
経済産業省出身の慶応大大学院・岸博幸教授も「霞が関的、役人的に言えばほぼ100%満点の答弁だったろうなと思う」としながらも、「じゃあ、これで世論の理解が得られたかといえば、まったく正反対で、10点か20点のレベルだった」という。
刑事訴追より恐れた「安倍の足を引っ張った男」の汚名
経産省出身の政策ラボ代表・古賀茂明しは佐川氏の胸中をこう推しはかる。「佐川氏は証人喚問で3つの不安を抱えていたと思います。一つは、自分は牢屋に入れられちゃうのかという刑事訴追の問題。二つ目は、自分の生活は今後どうなるのか、食べていけるのかという不安。三つ目は、ここでしくじった場合、安倍政権あるいはその関係者に自分は潰されるのではないかという恐怖です」
おそらく、佐川氏は刑事訴追は恐れていないはずだ。訴追されても、「身を挺して安倍政権を守った」となれば、浮かぶ瀬もある。しかし、「安倍政権の足を引っ張った男」となったら、人生はそこで終わりである。50回にも及ぶ証言拒否は、自分が生き延びるための選択だったのだろう。
逆に、官僚としての保身を捨て、忖度の真相を話した文部科学省の前川喜平・前次官は「『君君たらずとも臣臣たらざる可からず』という言葉があります。どんなに主君がひどい人でも、仕える者は誠心誠意仕えるべしという意味で、そんな封建時代みたいなものを感じましたね」と語る。
「国民のため」の初心忘れ、いつの間にか「組織のため」
では、「官僚は誰のために働いているのか」という問いには、4人とも「国民のために働いている」と断言する。タテマエはそうだが、「働いているうちに役所の考えに染まり、組織のため働くようになってしまう」(岸教授)という。
司会の国分太一は「森友追及はこれで終わってしまうんですかね。これから外交問題が控えていてそっちに行ってしまう」と懸念する。
堀尾正明キャスター「それはないでしょう。何度も名前が出てくる安倍昭恵さんは、後ろめたさはないと言うなら何らかの形でそれを明言すべきで、それで一つの区切りができると思います」
政府・与党はこれで幕引きにしようと必死だ。