森友学園に関する財務省の公文書改ざん問題をめぐり、きのう27日(2018年3月)に当時の理財局長の佐川宜寿氏の国会証人喚問が行われたが、肝心な部分は「刑事訴追の恐れがあるため答弁を差し控えたい」などと計52回も答弁を拒否し、真相究明には程遠い証言だった。
最初に質問に立った自民党の丸川珠代議員は、安倍首相や昭恵夫人から「指示はありませんでしたね」と、追及というより、政治家や昭恵夫人が無関係であると強調するための念押しだった。その言いっぷりについて、東京地検特捜部元副部長の検事の若狭勝弁護士はこう解説した。
「総理と丸川さんが仲がいいことは佐川さんも知っている。『ありませんでしたね』という言い方で、官邸や自民党はこういうスタンスだというメッセージを送ったということ」
司会の小倉智昭「(丸川議員の)質問に対してポンポン答えていて、まるで予定していた原稿に対して答えているみたいでしたね」
「今井秘書官と話したことはありません」
肝心なことは何もわからなかった証人喚問だったが、若狭氏は「しっぽは見えた」という。自由党の森裕子参院議員の「官邸の今井秘書官と森友問題で話したことはまったくありませんか」という質問に、佐川氏は最初は「官邸が課長クラスと調整していたということ」とはぐらかしたが、繰り返し質問を受けるうちに、「森友問題について今井秘書官と話をしたことはございません」と言い切った。
若狭弁護士は「私は35年間、嘘の見抜き方の研究をしています。この断言部分には、典型的な嘘反応が出ていました。このやりとりには(捜査中の大阪地検)特捜部も目をつけているはずです」
特捜部が佐川氏の通話記録などを解析し、今井秘書官との接点を見つけることができれば、佐川氏の偽証という「攻めの一手」となる。