日本相撲協会の理事会と評議員会がきのう26日(2018年3月)開かれ、評議員会は、理事会が選任した八角理事長らの理事会人事を承認した。会見した評議員会の池坊保子議長は、1月の貴乃花親方の理事解任で「袋叩きにあった」などと笑顔で話したが、会見後、記者の質問には謎めいた言葉で答えた。
池坊議長は会見で、「1月2日以来2か月ぶりでお目にかかります」と切り出し、「この間私は袋叩きにあい、大変な思いをしましたけれども、こうして健康です」などと、やや自虐的な冗談を交え、この日の人事案件承認や暴力問題への取り組みを説明した。
「天知る 地知る 人知る 神様っているんですね」と笑み
この「袋叩き」というのは、1月の貴乃花理事解任の発表の際、池坊氏が、「相撲道は礼に始まって、礼に終わるといわれております。貴乃花理事の多くの行為、言動は、明らかに礼を失していたのではないか」と述べたことに、反発する声でネットが炎上したり、批判を浴びたりしたことを指す。
この時貴乃花親方は、元横綱日馬富士による弟子の貴ノ岩への暴行事件から、相撲協会に反発して、事件の事情聴取などを一切拒否して、協会の呼び出しにも答えなかった。そのために理事解任に至ったのだが、貴乃花シンパの批判が、池坊議長に向いたのだった。
貴乃花親方の協会への反発はさらに進み、3月に入ってから、相撲協会のあり方への告発状を内閣府に送る、大阪場所でも無断欠勤、などエスカレートしていた。それが、ここへきて事情がガラリ変わった。
弟子の十両貴公俊が付き人に暴行して、親方の監督責任を問われる立場になった。貴乃花親方は言動も低姿勢になり、理事室(大阪場所)へも出勤するようになっていた。
こうした状況を受けて、この日池坊議長は、「再発防止で様々な取り組みを行っている最中に、また暴力が発生した。応援してくれる方々に失望や落胆を与えたのではないかと心を痛めています」と懸念を示した。
当の貴乃花親方については、「議案として出されていないので、評議員会の場での言及は控えたい」としつつも、「暴力はいけないと再三言っていましたから、みんなの胸の中には残念という思いはあると思う」とだけだったのだが......。
会見の場を立ったところで、記者が重ねて貴乃花について聞くと、池坊氏は「天知る 地知る 人知る 神様っているんですね」とにこやかに言って立ち去った。その場にいた相撲担当の横野レイコは、「用意していた言葉だなと思った」という。
この言葉、調べてみると中国の故事で、後漢の政治家が賄賂を断った時にいった言葉だった。元の言葉は「天知る 地知る 我知る 人知る」で、「隠していても悪事は必ず発覚する」という意味だった。
キャスターの小倉智昭「誰に向かって、この言葉を発したんですかね」
横野「貴乃花親方についてどう思うか、という問いへの答えだった」
小倉「あらま。意味深ですね。真意は池坊さんに聞かないとわかりませんが、だいたいそういうことなのかな」