大相撲春場所8日目の昨日(2018年3月18日)、貴乃花部屋の十両貴公俊(20)が付け人を殴るという事件があった。元横綱日馬富士の暴行事件以来、「暴力追放、相撲協会建て直し」を訴えてきた貴乃花親方の弟子が暴力を振るったという皮肉。親方は会見で「とても深刻です」と苦しそうにいった。
事件が起こったのは昨日午後3時すぎ。取り組みに敗れて支度部屋へ戻った貴公俊が、付き人(22)の顔面を3回ほど殴り、付け人は顔が腫れ上がり、口の中が切れて血が流れた。理由は、付け人が出番を知らせるのが遅れたことだった。
付け人の出番の連絡が遅れ、土俵まで走った貴公俊
本来、2番前の取り組みに土俵下に控えていなければならないのだが、付け人が取り組みを見ていて、貴公俊に知らせるのが遅れた。そのため貴公俊は、本来歩いて入るべき花道を走って入場、審判部長から「遅い!」と叱責された。その後の取り組みでも負け、怒りが付け人に向いたらしい。
しかし、いかにもタイミングが悪かった。貴乃花親方は、貴ノ岩への暴行事件の協会の対応に問題があるとして、先ごろ内閣府に出した告発状で、「組織としての公益性や透明性が問われている」と訴えていた。それが今度は、自らの弟子が暴力を振るったわけだ。
関係者によると、貴公俊は「親方に申し訳ない」と泣いて謝ったという。また、殴られた付け人も「自分が悪かった」と言っているという。貴乃花親方は、事件を協会に届ける一方、貴公俊を謹慎とし、今場所休場を決めた。さらに、協会に事件を説明するという。協会も貴公俊から事情を聴く。
19日朝、宇治市の宿舎前で会見した貴乃花親方は、「とても深刻です。辛いというより深刻です」と苦しそうな表情で話した。貴公俊には「辛抱が足りないから負けるんだ」と言い、特に強く叱責はしなかったようだが、「このままでは、土俵に上がらせるわけにはいかない」と休場させたという。
部屋に関取が多すぎて付け人不足が裏目に?
貴公俊は、今年1月新十両に昇進(東14枚目)。一足先に十両になっていた双子の弟、貴源治(20)と、初の双子の関取として話題になった。一方貴乃花親方は、今場所中、理事室への欠席が続き、出てきても短時間というので協会から注意を受けていた。まさに最悪のタイミングだ。
小倉智昭「十両に昇進したばかりの期待の力士でしょう」
元スポニチの大隅潔さんは、「びっくりしました。先の暴行事件に関与した鶴竜が会長の力士会には出ないと言って貴乃花部屋は関取4人が欠席している。それがストレスになっているのか」
ただ、貴乃花部屋は関取が4人に対して、それ以外の部屋の力士は5人しかいない。付け人不足なのだという。その付け人も土俵に出るわけだから、関取が多いというのが裏目に出た形。
それはともかく、協会との確執がこの問題に何らかの影を落とすのは必至。ファンは固唾を飲んで見守っている。
小倉「春場所はお客さん、入っているんだよね」