井ノ原快彦キャスター「きょう(2018年3月19日)の特集は受動喫煙です。体に悪いのは元々知っているとは思います。でも思っている以上にずっと深刻で、もっともっと気をつけなきゃいけない状況になっているんです」
2年前に厚生労働省が発表したたばこに関する報告書によると、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中で亡くなった人のうち、受動喫煙が原因とみられるケースが推計で年間1万5000人にのぼった。
一番心配なのが子供への影響だ。ぜんそく、肺炎など肺の病気につながるほか、中耳炎や虫歯の原因にもなる。
加熱式たばこでは健康被害は減らない
埼玉県熊谷市では、10年前から毎年市内の小学4年生約1500人を対象に尿検査を実施し、受動喫煙の実態を調査している。
子供の肺に入ったニコチンは、肝臓で「コチニン」という物質に変わり、尿に排出される。尿検査でコチニンの濃度を調べれば受動喫煙の度合いがわかるというわけだ。
数値が高い子供には教育委員会から保護者に文書を送り、喫煙を見直すよう促している。この取り組みを始めてから、小学生の親の喫煙率は少しずつ低下しているという。
子供への影響を考えて「加熱式たばこ」を吸い始めた人も少なくなさそうだが、医師の大和浩さんは加熱式でも危険だと警告する。
「たばこの葉っぱから発生する有害物質はほぼ全て出てきます。一回で500ccの呼吸量を吸い込むが、最後の150ccは口、のど、気管の途中までしか行かないので、次に息を吐く時に本人が吸い込んだのと同じものが出てくる。有害性はたばこよりは少ないと思いますが、そのまま健康被害が減ることにはつながらない」
消臭スプレーかけても有害物質が残る
直接煙を吸わなくても、「三次喫煙」の被害を受けることがある。例えば、受動喫煙した人が帰宅し、服に付いたたばこの化学物質を家族が吸うのが「三次喫煙」にあたる。
たばこに火をつけると、葉や巻き紙がいったん気体となり、空気で冷やされてタールの粒になる。これが服の繊維に入り込むと、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの発がん性物質を含む有害なガスが服から発生し続けるのだ。消臭スプレーをかけても、ニオイをごまかすだけになり、ガスの発生は止められない。
遠藤亮アナウンサー「例えば幼い子がいるから外でたばこを吸い、帰ってきて抱っこすることがありますよね」
大和さん「僕たちの実験では、たばこを一本吸うと息に含まれる化学物質の量が吸う前の量に戻るのに45分かかった。外で吸って戻ってきて赤ちゃんを抱っこすると、近距離で有害物質をばく露します」