2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一さん(82)がアメリカで交通事故を起こし、妻のすみれさん(80)が死亡した。根岸さんは病院に搬送されたが、詳しい容体は不明だ。
根岸さんはアメリカ・インディアナ州のパデュー大学で教鞭をとっており、同州在住。現地の報道によると、事故があったのは自宅から約260キロ離れたイリノイ州で、根岸夫妻は旅行のためシカゴのロックフォード国際空港へ向かっていた。空港まであと10キロ付近のところで、広大なゴミ処理施設に迷い込んだとみられ、12日に捜索願が出された。13日早朝(現地時間)に助けを求めて歩いていた根岸さんを警察が保護し、車の近くですみれさんが死亡しているのを発見した。車の車輪は溝にはまった状態だったという。警察は根岸さんが運転していたとみている。
「とくダネ!」にも出演して自慢ののどを披露
根岸さんの家族は声明を発表し、すみれさんが末期のパーキンソン病を患っていたことを明かし、「私たちは愛する母の死にひどく悲しんでいます。母は、父と旅をしていました。父は今ショックと混乱状態に苦しんでいます」としている。
根岸夫妻は小学校時代からの幼なじみ。根岸さんがアメリカへ渡る1か月前に結婚した。ノーベル賞受賞の際には「50年も結婚していますから、何も言わなくてもあうんの呼吸で」と夫婦そろって喜びを語っていた。2010年11月には「とくダネ!」に夫婦で出演し、根岸さんが自慢ののどを披露していた。
ノーベル賞を受賞した時のインタビューでは、根岸さんがすみれさんの肩に必ず手をかけるのが印象的だった。笠井信輔ニュースデスクは「すぐに触ってしまうんです、とおっしゃっていました。本当に仲の良いご夫婦でした」と振り返った。
司会の小倉智昭「旅の途中で痛ましい出来事が起こって、奥様の訃報に接した時の先生の気持ちがどんなだったか、本当にお気の毒です」