福島原発「緊急作業従事者」65%が健康調査受けず!「病気あっても国も東電もフォローない」

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   東京電力の福島第一原子力発電所の事故を収拾するため、この7年間で2万人が「緊急作業従事者」として過酷な作業に当たってきた。特例措置として、被ばく上限が250ミリシーベルトに引き上げられたなかで作業した人たちだ。

   このうち、被ばく線量が100ミリシーベルト以上の168人については、健康への影響を調査するため、がんなどの検査が定期的に実施されている。これとは別に、100ミリシーベルト未満の人を対象にした健康調査もある。国から調査を委託された放射線影響研究所が、郵便などで作業員に調査票を送り、協力を依頼する。2、3年に1度あり、無料検診だ。

   この調査について、国は初め全体の80%の参加を目論んでいた。しかし、実際は35%程度に留まっている。調査に応じていない65%は、9%は「宛先不明」だが、52%は拒否や未返信だという。

「オレたちは捨て駒なのさ」

   なぜ調査は進まないのか。作業員など関係者100人以上に聞いたところ、「行きたいのはやまやまだが、休みを取ると元請けに睨まれる」「仕事を休んでも補償がない」「病気が見つかっても治療してもらえない」などの声があがった。

   取材に当たった斉藤隆行記者はこう報告した。「作業員から『自分たちは捨て駒だ』といった言葉を聞くことが少なくなかったですね。その背景には、命の危険をおかして作業をしたのに、その後は国や東電から健康面などのフォローがなく、見捨てられたという不信感があるようです。

   今回の健康調査も、何か異常が見つかっても、治療を受けられる仕組みにはなっていない。作業員に届く調査票には『研究への協力に関する同意書』というタイトルがついているなど、健康を守るものではなく、研究の材料に使われるだけではないかと感じる作業員も多いですね」

   *NHKクローズアップ現代+(2018年3月7日放送「原発事故"英雄たち"はいま 被ばく調査拒否の実態」)

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