森友学園問題で、国会に提出されていた文書が、一部書き換えられていた疑いが出て、2日(2018年3月)の国会が紛糾した。麻生大臣以下の財務省は「検察が調べているから」の一点張りで、答えを拒否。ようやく最後に「火曜日(6日)までに報告する」と約束した。この間、「火元」の安倍首相は最小限の発言ですり抜けた。
「え、どこの新聞?」ととぼける麻生大臣
金曜日(2日)の朝日新聞が一面トップで報じた。森友学園への国有地売却契約に関する財務省の決済文書が昨年2月、国会に開示されていたが、本来あった内容の一部が削除されていたという内容だ。森友学園問題の発覚を受け、書き換えた疑いがあるとしている。
朝日新聞によると、契約当時の内容には、「特例的な内容」「本件の特殊性」などの表現があったが、国会議員らに開示されたものでは削除されており、項目によっては、そっくりなくなっていた。土地売買の記録が記された決済印もあるれっきとした公文書で、これを改ざんすれば犯罪にもなりかねない。
また、「特殊な内容」などの記載は、森友学園と安倍昭恵夫人との関係を指すものと見られ、事件発覚を受けて書き換えた疑いがあるという。さらに、「貸付に至る経緯」を記した部分は、項目ごとなくなっている。
しかし、この朝の会見で麻生財務相は、「え、どこの新聞?」「東京新聞には取材力がないか」などといつものおとぼけでまともに答えず。その後の参院予算委でも、共産党の小池晃・書記局長らの追求に、「大阪地検で、背任、証拠隠滅、公用文書毀棄の告発を受けて捜査している最中。捜査に影響があるか予見しがたいので(答弁を)差し控えさせていただく」と突っぱねた。
小池氏は「捜査に影響するということは、元の文書があるということじゃないか」と迫る。麻生氏は「捜査に影響がないとなったら、調べる」。これは太田充・理財局長も同じ。2人とも同じ言葉を延々と繰り返した。このため審議は12回にわたって中断。その後、衆院財務金融委でも同様のやり取りが繰り返され、文書の存在にすら触れなかった。しかし最後になって太田局長は、「火曜日までに調査をし、報告する」と約束した。
記録文書の公表を平昌五輪のヤマ場に合わせた?
小倉智昭「朝日の報道は衝撃でした」
共同通信論説委員の柿崎明二氏も「これまでにない衝撃」という。「書き換えは、決済の前なら当たり前だが、決済後の書き換えは法律違反になる」
話はもう1つある。昨年2月、当時理財局長だった佐川宣寿氏(現・国税庁長官)は「記録はすでに廃棄した」と突っぱね続けたのだが、その後、部内でのやり取りを記した(森友との交渉内容が含まれる)文書が1月に5件、2月に20件開示されていた。
その2月分は9日だった。これを一面で報じたのは朝日新聞だけで、他の新聞はすべて、平昌五輪がトップだった。野党からは、こうした公表日の選び方は「詐欺的だ」と政府を非難する声があがっている。
夏野剛「何があったか、わからず、オタオタしているんじゃないか」
柿崎氏「状況は把握していたと思うが、言質を取られないようなことを言い続けるしかない。時間稼ぎではないか。委員会は時間が限られるから」
柿崎氏は、自民党議員からそう(時間稼ぎだと)言われたのだそうだ。