設楽悠太「1億円日本記録」まったく新しいマラソンの勝ち方

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   25日(2018年2月)に行われた東京マラソンで、設楽悠太選手が16年ぶりに日本記録を更新した。2時間6分11秒。途中、足の痛みを抱えながら、終盤に見せた驚異の快走はなんだったのか。

   これまでの日本記録は2002年、高岡寿成選手の2時間6分16秒だった。5秒に16年かかった。マラソン解説者で、五輪選手を指導してきた金哲彦さんは、「止まっていた時計が動き出し、いろんな選手に勇気を与えた。100メートルで10秒を切るのと同じくらいの価値がある」という。

40キロ地点で右腕に付けたアクセサリー

   設楽選手はスタート前の取材で、目標は「9分台」と答えていた。そのレースの様子を、本人と映像を見ながら振り返った。5キロ地点では先頭集団におらず、ペースメーカーの村山紘太選手と並んでいた。10キロ地点で足の痛みに襲われていたが、こらえて先頭集団に追いつく。

   この痛みについて、「分からなかったが、何も考えずに最後まで走った。辛かったです」と語り、レース後に「疲労骨折の治りかけ」と言われたという。出場レースが多かったための披露骨折らしい。

   20キロで、一時、外国人のペースメーカーより前に出たが、31キロ過ぎに先頭集団から遅れ始めた。「外国人選手のペースが速かったので、無理してついていく必要はないと思いました」と冷静だ。40キロに近くで、昨年(2017年)のレースで負けた井上大仁選手(世界選手権ロンドン大会日本代表)を抜き3位に上がった。その後の2キロの間に、4回も大きく後ろを振り返った。「井上選手が気になりました。まだ、日本記録は意識していなかったですね」

   40キロの給水ポイントで、ドリンク容器についていた何か黒っぽいものを右の二の腕にはめた。ここから急に腕の振りが大きくなり、ケニアの選手を抜いて2位に。何の魔法だったのか。スタジオで披露したのは、青いビニールに「LAST FIGHT」と書かれイラストがある。かなり大きい。イラストは設楽の走る姿の画だ。自分で描いた。

   「マラソンを走るとき、いつも姉が作ってくれます」と話す。本来は、ドリンクのボトルが目立つための印なのだが、姉が書いた「LAST FIGHT」の文字を見て、今回はボトルから外して腕につけた。「力をもらいました。家族の思いと一緒にゴールしたかったので」

文   ヤンヤン
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