パワハラ告発状「栄和人」追い落としが狙い?レスリング界のカリスマ

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   日本レスリング協会の栄和人・強化本部長が、オリンピック4連覇の伊調馨選手とコーチにパワハラを働いているという告発があったと、「週刊文春」(3月8日号)が伝えた。伊調は「告発には一切関わっていない。しかるべき機関から問い合わせがあれば説明する。レスリングの普及発展を常に考えています」と微妙な言い回しのコメントを出した。

   告発文は元五輪選手の大学監督から内閣府へ送られたもので、伊調を指導しているアテネ五輪銅メダリストの田南部力氏に圧力がかかり、伊調ともども練習の場にしていた警視庁から締め出され、練習できないなどといった内容だ。

   伊調も週刊文春の取材に、「(栄氏の元を離れ)東京へ移った後、最初に合宿に参加した時には、『よく俺の前でレスリングできるな』みたいなことは言われた」と話している。

いまや男子代表選手にも影響力もつ協会理事・強化本部長

   伊調は名古屋の栄氏のもとで指導を受け、2004年のアテネ五輪で初めて正式種目になった女子レスリングで、吉田沙保里選手ともども金メダルを取った。以後2人は北京、ロンドンと連覇。リオでは伊調が未踏の4連覇、吉田は銀メダルだったが、新たに3人の金メダリストを生んだ。

   多くが栄氏の手で育ったが、伊調は北京の後に東京に移り、田南部氏の指導を受けるようになった。このころから、栄氏との間に隙間風が吹くようになった。この間に、栄氏は女子代表監督から協会の役員、理事へ、さらに男子も含めた強化本部長に就いて、レスリング界全体を見渡す地位になった。

   告発状によると、田南部氏は栄氏に「伊調のコーチをやめろ」「俺の言うことを聞かなかったらナショナルチームやめさせるぞ」などと「圧力」をかけられ、警視庁の監督、理事を外されたという。田南部氏と伊調が警視庁から「出入り禁止」と言われたことが告発のきっかけになったと、大学監督は話している。昨年の末から準備して、内容を伊調に伝えたというが、伊調も「田南部氏が外されたのは納得できない」と言っている。

「伊調がそう感じたんだったら・・・。悲しい」

   栄氏は「去っていくものを追うことはしない。伊調がしたいようにさせてきたのに、『させなかった』という言葉は悲しい」「亀裂なんか全然ない」と反論している。パワハラも否定したが、「彼女がそう感じたんだったら、それはまた話すことができればと思います」とも言う。

   ただ、過去の五輪の映像を見ると、アテネ、北京では肩車までして喜んでいた栄氏が、ロンドン、リオでは距離を置いている様子がうかがえる。

   司会の小倉智昭「女子のレスリングが非常に強くなったところにひとつの理由があるような気がします。男子もメダルを取り続けてきたが、いま女子の方が目立つ。そこで6人もの金メダリストを育てた栄さんが、男子も含めた強化本部長になっているのが引っかかるというようなこともあるんじゃないかなあ」

   スポーツジャーナリストの長田渚左氏は、「女子は2004年からで、まだ歴史も短く、男子からは一段下に見るようなところがあります。事実、男はパワーが違から、男子と練習すると強くなる。伊調選手の思いとの歪みがあるんではないでしょうか」という。

   小倉「ただ、ここまで話が大きくなったから、これからは練習するところはあると思うよ」

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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