平昌(ピョンチャン)五輪が閉幕し、南北朝鮮の融和を演出していた北朝鮮の選手団、美女応援団も昨日(2018年2月26日)帰国した。しかし、「微笑み外交」の主役だった美女応援団を待ち受けるのは、厳しい再教育。会期中目にした資本主義社会の現実を、国内に伝えられてはまずい。「浄化教育」と呼ぶのだという。
北では、リンゴやミカンさえ特別な人しか食べられない
この日朝、帰国するアイスホッケーの女子選手たちは、統一チームを組んだ韓国選手と抱き合い、涙を流して別れを惜しんでいた。対照的に美女応援団の団員たちは笑顔で去って行った。その手には、小さな紙袋が......。ホテルのプレゼントで、パンやチョコなどが入っていた。だが、これらもうかつに食べてはいけないものらしい。
彼女たちは20日間、各地で様々なパフォーマンスを行ったり、競技会場では奇妙なお面をつけたり、一糸乱れぬ行動が、時には競技の邪魔になるほどで、「不気味」な印象すら与えた。その彼女らに韓国がどう映ったか。これをいちばん心配しているのが、北朝鮮の当局者だというわけだ。
今朝(27日)の労働新聞は、代表団と美女応援団が帰国した様子を写真入りで伝えたが、掲載は4面だった。五輪開幕で乗り込んだ管弦楽団は、帰国した時、金正恩委員長との記念写真入りで大きく1面で伝えられた。金委員長との写真は最高のもの。応援団が載ることはないだろうという。
龍谷大の李相哲教授は、「彼女たちは、国力の違いをまざまざと見たはず」という。
食べ物にしても、北では貴重なものが韓国では溢れている。白米、フルーツ、砂糖......。北では、リンゴやミカンですら特別な人たちしか食べられない。それがパイナップルまであった。彼女たちが、白米に砂糖をかけて食べているのが目撃された。北では、砂糖は貴重品で、一般の人は目にできないものだという。
それだけではない。韓国国内の自動車の多さ。滞在したホテルの部屋の良さ。韓国政府主催の晩餐会では、貝柱のソテー、煮込みスープ、牛ヒレ、果物が並んだ。さらに、停電がない。平壌ですら日に3時間は停電するという。
北の記者団22人は、取材より彼女たちを監視していた
そこで何が起こるか。李教授は「資本主義に染まったら、浄化が必要になる」という。帰国した彼女たちに、「格差」を感じさせないように、レベルの高いホテルに1?3か月滞在させる。この間に、反省会、自己批判、教育が行われ、最後に「南で見たことは口外しない」旨の誓約書を出すのだという。
元応援団のメンバーで脱北したハン・ソヒさんは、「他のメンバーの行動まで監視している。帰ってから再教育を受けないといけない」という。今回ホテルが持たせたプレゼントも、全部幹部に提出する。
古坂大魔王「そこまでしても、応援団を韓国に送るんですね」
中江有里「教育で表面上は消しても、どこかに残るんじゃないかな」
小倉智昭「パラリンピックにも応援団が行くという話がある。同じ人が来るのか、別なのか」
笠井信輔が「悪い話ばかりではなく、美女応援団にいると、いい結婚相手にも出会える。その中で一番うまくいった人が、この人」と指したのが、金正恩委員長夫人の李雪主さん。
フジテレビには、2006年平壌で撮った映像があった。当時18歳。「日本をどう思うか」との問いに「昔の悪事については、百倍にして返したいけど、日本の進歩的文化人民たちとは一緒に」と言っていた。英才教育の「金星学院」の生徒だったが、美女応援団にも参加していた。
その前の仁川でのアジア陸上選手権に参加して、浄化教育も受け、その後管弦楽団に入ったところを見初められたのだという。
小倉「中には、このまま韓国にとどまりたいと思った人もいたはず」
李教授「記者団が22人いたが、取材よりは彼女たちの監視だった」