今回の平昌(ピョンチャン)五輪から登場したスピードスケート女子の「マススタート」が、24日(2018年2月)行われ、高木菜那選手が記念すべき初代の女王になった。パシュートに続く2つ目の金メダルで、「美帆のお姉ちゃん」の屈辱も脱した?
変わった競技だ。スピードスケートといえば、2人ずつがタイムを競うものだが、16人が一度にリンクに上がり、16周(6400メートル)する。まあ、ショートトラックを長くしたというか。最後に大勢が競い合うのは、自転車競技のようでもある。
「お姉ちゃんの方が経験豊富で、状況判断も長けている」
日本からは佐藤綾乃と2人が出場したが、佐藤は予選で転倒してしまい、決勝16人に残れなかった。
スタートしても、全力では走らない。ゆっくりとしたスピードで周回を続ける。高木は序盤は後方にいて、風圧を避けていた。155センチは、16人の中でもひときわ小柄だ。しかし、他の選手の動きを入念に見ていた、
最後の2周からスピード全開になる。先頭集団は7人、高木は3番目にいた。あと一周になった時は2番手。そして最後のコーナーで先頭のオランダ選手が膨らんだ内側に切り込んで先頭に立つと、そのまま振り切ってゴール。計算通りだったらしい。
「イレーネの後ろについていたが、前のコーナーでふくらんでいたので、これはインからいけるなと思っていた」「本当は佐藤と2人でワンツー狙っていたので、悔しい部分」「パシュートとは違った重みの金メダル」と高木は言った。
スタンドでは、高木美帆と父の愛徳さんも見守っていた。美帆は「マススタートではお姉ちゃんの方が経験豊富で、状況判断も長けている」と言った。ぴったりと接近した滑りはパシュート仕込み、小柄を生かして風圧を避ける、他選手の動きを読む、ここぞという時のダッシュ......
表彰台ではぴょんと飛び上がった。2、3位の選手よりひとつ小さい。しかし大きなチャンピオンになった。