平昌オリンピック・スピードスケート女子団体パシュートで金メダルとなった日本チームには、5人目の選手がいた。きのう22日(2018年2月)に行なわれた表彰式の後、会場を出た高木菜那選手は真っ先に「美沙紀~」と呼び、記念撮影の輪に引っ張りこんだのは押切美沙紀選手だった。高木美帆選手がメダルを外して首にかける。押切は涙、涙だ。
ケガでメンバーに選ばれず
押切は高木姉妹と幼い頃から一緒に練習してきた仲間だ。ソチ五輪では菜那とパシュートに出場したが、3位決定戦でロシアに敗れメダルを逃した。その後もナショナルチームに選ばれ、高木姉妹らと過酷なトレーニングを続けた。
その成果は、2年前(16年)の世界距離別選手権で、高木姉妹とともにとった銀メダルにあらわれた。ところが、その半年後、押切は練習中に転倒して左股関節を負傷、全治1か月の重傷だった。その影響もあって、平昌五輪では5000メートルには出場したが、パシュートのメンバーには選ばれなかった。
しかし、パシュートの練習に「5人目」としていつも参加してカギとなる隊列練習をリードし、「パシュート・メンバーがより金メダルに近づけるように、チームの一員のような感じでサポートをしたい」と話していた。
ウイニングランに手を振りスタンドで大泣き
21日の決勝はスタンドで見守った。金メダルが決まった瞬間、押切は目頭を押さえ、「嬉しいです」とポツリ。チームの4人がウイニングランで場内を巡った時、菜那がスタンドに向かって「美沙紀、ありがとう」と声をかけた。押切の涙が止まらない。
その後の会見でも、菜那は「押切」の名前を出して、「今ここにいないのがちょっと悲しいんですけど、このメンバーにプラス押切がいたから」と語った。美帆も「押切さんの笑顔と元気にたくさん助けられた。押切さん、大好きです」
司会の小倉智昭「もらい泣きしました」
日本の勝利を受けて、オランダの新聞は「日本に勝ちたければ、日本のように毎日一緒に練習する必要がある」と書いた。小倉が一番心配する点だ。
小倉「オランダは個人戦だけにしてもらいたいですね。パシュートで日本式をやられたらまずい」