デジタルに大きく舵切る出版界の老舗・講談社―紙より電子書籍の時代
講談社の決算が発表された。売上高は1179億5700万円で前年比100.6%。内訳は雑誌558億9800万円(同89.1%)で、週刊誌などの雑誌が146億9900万円(同85.9%)、コミックが411億9900万円(同90.2%)。書籍は176億8700万円(同101.8%)。
増収増益だが、野間省伸社長は「出版業界全体の売り上げが前年比6.9%のマイナスという逆風の中にあって、前年とほぼ同水準の結果を出せたことは一定の成果だと考えております。また、紙製品の売り上げが減少する中で、電子書籍や版権ビジネスなどの事業収入が紙での減収分を上回る増収を記録し、事業収入の割合は収入総額の30%を超えるところまで成長しました」と語っている。
広告収入が前年比マイナス0.2%。それも「その他」が前年比541.9%だから、デジタル広告の収入が飛躍的に伸びているのであろう。明るい材料ではある。
だが、不動産収入の31億3400万円を入れて、税引前当期純利益が36億7800万円(同78.5%)、当期純利益が17億4800万円(同64.4%)だから、全体的に見れば胸を張れる業績ではないだろう。
森武文副社長が取締役相談役に、鈴木哲常務が顧問、古川公平と渡瀬昌彦を常務に昇格させ若返らせたのは、野間社長の危機感の表れと、デジタルシフトをさらに拡大していくという決意表明ではないだろうか。講談社は来年110周年を迎える。