ノルディック複合個人ラージヒルで渡部暁斗選手は金メダルに届かなかった。前半ジャンプでは134メートルを飛び、ドイツのフレンツェル選手とスタートの差は24秒だった。しかし、渡部は「(後続のドイツ勢3人について)かなり厳しい闘いになると思います。彼らはしっかり共闘してガンガン僕を追い上げてくると思うので、簡単には逃げ切れるとは思っていません」と語っていた。
その通りだった。クロスカントリーは先頭でスタートした渡部をドイツ勢が追い上げる。じりじりと差が縮まり、ラストの4周目に思わぬ事態が起きた。現場にいたリポーターの阿部祐二が「あれ、つまずいちゃった」と声をあげた。
上り坂で他の選手と接触してバランスを崩したのだ。一瞬のうちに遅れをとってしまい、先頭集団から抜け出したのはドイツ勢の3人だった。そのままゴールし、金銀銅独占の結果となった。
「体力は限界に近かった。やり切った思いです」
渡部はゴールすると、仰向けに倒れ、精も根も尽き果てたような感じだった。「やれることはやりました。失敗も成功も含めて自分の決断でやり切ったと思うので、この結果を受け止めるしかないと思います」
接触したことについては、「それがなくても体力は限界に近かったので、結果はそんなに変わらなかったかなと思います」と淡々と述べた。
司会の加藤浩次「ドイツ勢としては、3人が固まって本当に運がよかったですね」
阿部「ドイツ3人はレース中に言葉を交わしたりして、3人が束になって渡部選手にかかっている感じでした」
森圭介アナ「後ろから黒い影が忍び寄ってくるとき、これはやられるなと思いました」
松田丈志(競泳元日本代表)「日本の選手層がもっと厚くなればと思いましたね」
いつか、リベンジしてほしいものだ。
一ツ石