最近は埋葬スタイルもさまざまだ。とくに、「お一人様」をはじめ、子供に迷惑をかけたくない人、老人ホームや会社、学校の仲間と一緒に眠りたい人などから「合同墓」への注目が高まっている。
他人と同じスペースに納骨され、法要や管理は寺や霊園がやってくれるもので、他の墓に比べて値段が割安なのも魅力となっている。たとえば、納骨堂は約10万円から高ければ1000万円で、年間管理費が高額な場合もある。一般墓は墓石代込みで平均181万円だが、合同墓は公営のものなら3万円からある。
築地本願寺「年1回の法要込みで30万円プラスアルファ」
都内で一人暮らしする大樹三幸さん(56)は、合同墓に入ることを検討している。母が眠る墓は大阪にあるが、はとこの家族が代々守っていて、疎遠になっている自分が入るのは申し訳ないと感じているからだ。
大の相撲ファンで、国技館がある両国周辺の墓に入りたいと思い、両国から車で15分ほどの築地本願寺の合同墓を見学した。ここでは共同の礼拝堂の仏様の下に230平方メートルのスペースがあり、1万以上の遺骨が収納できる。粉状にした遺骨を真空パックにして他の人と混ざらないようにし、布の袋に入れて納骨する。一度納骨したら、その場所には寺の関係者しか入れず、他の墓に移すこともできない。
値段は年1回の本堂での法要込みで30万円「以上」。プラスアルファは契約者の「お気持ち」だ。年間管理費はかからない。
国技館の土俵の砂を一緒に納めたいという大樹さんだったが、遺骨以外は納められないとのことだった。「すべてをお寺の方がやってくださるし、永代供養と聞いて安心はありました。ちょっと悔やまれるのは土俵の土を入れられない」(大樹さん)