北朝鮮は平昌オリンピック開会式前日のきのう8日(2018年2月)、軍創建70周年の軍事パレードを行った。顔を迷彩に塗った特殊作戦部隊や戦車部隊、白黒に塗装された火星15型ミサイルなどが登場し、金正恩委員長が「高度な激動状態を維持し、勇敢に戦い抜こう」と軍事力強化の姿勢を強調した。
朝鮮中央テレビの映像を見た笹川平和財団の小原凡司・上席研究員は「パレード前半は古い武器や服装も出て、国内向けに軍の歴史発展を演出してましたね。北朝鮮は去年(2017年)から党の歴史を書き直し、先軍の言葉を使わなくなっています。パレードで党による統治を改めて示したのだろうと思います」と解説する。
経済制裁に風穴を開けたい・・・
オリンピックとの関係については、完全に政治利用されたと小原氏は見る。「開会式前日の軍事パレードに、韓国政府は本当なら怒るのが当然ですが、受け入れました。経済制裁に風穴を開けたい北朝鮮の思惑通りで、北朝鮮のペースで進んでいます。北朝鮮の難題を韓国がのんでいる」という。
制裁措置で禁じられていた貨客船「万景峰92号」の韓国入港、入国禁止人物だった崔輝・国家体育指導委員長の入国と、韓国側は次々と例外措置を迫られている。
司会の加藤浩次「文政権になってから、こういう動きです。日米韓で北朝鮮と向き合っていたのに、制裁が緩んでしまう状態の裏では核やミサイル開発が進んでいます」
いや、この程度のことで北朝鮮制裁を見直すほど国際社会は甘くない。今回のオリンピックにかこつけた派手な宣伝攻勢は、そこまでやらざるを得ないほど北朝鮮が追いつめられているということだろう。開会式前日のパレードも滑稽なだけだった。