銀座のまん真ん中にある中央区立泰明小学校(和田利次校長)が、この4月(2018年)から標準服にイタリアの有名ブランド「アルマーニ」を採用するというので、話題になっている。学校側は「銀座にある学校らしさも生まれるのでは」というのだが、何か勘違いしてないか。
学校が示したサンプルは紺を基調にしたもので、たしかに普通の制服とは一味違う。お値段も違う。身長130センチで、男子は上着、長袖シャツ、ズボン、帽子で4万3632円。女子はスカートになるが、4万6116円。これまでは1万7000円程度だったから、2.5倍である。セーター、ベスト、靴下などもそろえると8万円を超える。
校長は「銀座ブランドと一体化させたい」
学校側は昨年9月(2017年)に入学希望者に通知したが、「予備も含めると相当な出費。困ってます」「理解できない」などの声が上がった。在校生の父兄も「2日に1回洗濯している。自宅で洗濯できるものなのか」「汚れるものだし、身長も伸びるし」と戸惑う。当然だろう。
泰明小学校は創立140周年、作家の島崎藤村も学んだという由緒ある学校だが、銀座界隈の常住人口の減少で生徒数が少なく、他地区からの生徒も受け入れる「特認校」になっている。数寄屋橋に近く、おしゃれな飲食店やショッピングプラザが目の前だ。
「なぜアルマーニなのか」という疑問に、和田校長は「銀座の街のブランドと泰明のブランドで、学校と子供と街が一体化するのではないか」という。文書でも「ビジュアルアイデンティティー」「服育」と説明をするが、意味が今ひとつわからない。
公立なのに買えない子は通えない?
街の反応は、「ユニクロじゃなくてもいいけど、アルマーニじゃなくてもいい」「公立でやっちゃいけない」という意見から、「銀座だったらいい」「羨ましい。着たい」という意見までさまざまだ。
国会でも取り上げられ、麻生太郎財務相は「高いっちゃあ、高いでしょうし、一人だけ買えないという人が出ると、難しいかなという感じはする」と答えていた。
標準服というのは、制服ではなく、あくまで標準。校長もホームページで「タイミングが遅かったなどの批判を謙虚に受け止め、丁寧に説明を」といい、実際の運用は「個別に対応する」というのだが、やる気は変わらないようだ。
司会の小倉智昭「僕は55歳を過ぎて、初めてアルマーニに袖を通した。銀座だからってアルマーニにすることはないと思うけどねえ」
中瀬ゆかり(「新潮社」出版部長)「私服を考えなくても済むというのが制服。この値段だと辛いかなと思う半面、『アルマーニ着てたのよ』というのはネタにはなる」
小倉「銀座というなら、それこそエルメスのランドセルとか。校長先生がいちばん『(自分たちは)銀座だあ』と思ってるんじゃないのかな」
公立学校に制服も標準服もいらない。