仮想通貨取引所の「コインチェック」が不正なアクセスを受けて26万人の顧客から預かったNEM5億2630万XEM(ゼム=約580億円分)がアッという間に流出してしまった。仮想通貨は円やドルといった国や中央銀行が管理する法定通貨とは異なり、ネット上だけで流通する通貨だ。1000種類以上が存在し、時価総額は26兆円分に達しているといわれる。
日本では投資対象として急速に拡大し、代表格のビットコインは昨年(2017年)1年間で20倍に価値が上昇した。売買はネット上の取引所で行われ、金融庁が把握しているだけで国内に32ある。取引所は法定通貨と仮想通貨を交換したり、仮想通貨を預かる機能も持っていて、コインチェックは大手だった。
コインチェックの「穴」熟知
短時間に巨額の通貨が流出した原因は、コインチェックのセキュリティーの甘さだ。顧客の口座はサイバー攻撃から守るため外部のネットワークとは遮断するが、コインチェックのNEMは常時ネットワークにつなげたままだった。
犯人はそうした「穴」を熟知していたわけだが、いったいどんな人物なのか。ゲストのホワイトハッカーの河崎純真氏によると、「組織的というよりも個人がやっているイメージがあります。組織的な犯行なら、すぐに現金化するとか、別の仮想通貨と交換するはずですが、今回はそうした動きはなく、少しずついろんなことを試しているみたいです」と話す。「NEMを作ったシンガポールのNEM財団から『犯人の目星がついてきた』という情報が出たので、かなり犯人像が分かってきた状況にあると思います」とも言う。