おととい16日(201年1月)に第158回芥川賞が発表された。受賞者の1人、若竹千佐子さんは63歳の専業主婦で、初めて書いた小説「おらおらでひとりいぐも」が文藝賞に続く受賞作となった。岡安弥生リポーターと待ち合わせた若竹さんは黒い地味なコートでたしかに主婦っぽく、東京・八重洲ブックセンターではなれない著書へのサインに追われていた。
作品は、子育てを終え、夫を看取った主婦が感じる孤独と老いの境地を綴った物語である。舞台は生まれ育った東北で、語り口も東北弁だ。「あいやぁ、おらの頭(あだま)この頃、なんぼがおがしくなってきたんでねべか」
岩手・遠野市の生まれ。岩手大学を卒業後、教員を目指すがなかなか就職できず、28歳で結婚して2人の子供を育て、円満な家庭だったが「外へ出て働きたかった」という思いを抱いていた。それを日記に書いた。夫はからかいながら、頑張れといってくれた。
夫の急死きっかけに「小説講座」通い
8年前に夫が57歳で急死した。悲しむ姿を見た息子が「どこにいても悲しいんだから、外に出ろ」「やりたかった小説でもやればいいじゃん」といってくれた。通い始めたのが東京・八丁堀の早稲田大学エクステンションセンターの「小説講座」だった。若竹さんは岡安にこう語った。
「小説に救われました。仲間を得て、とにかく書いて持っていけば、誰かがそれを批評してくれるんです」「いつでも出発できるってことなんですよね。楽しいことは続けるべき」「うん、無駄なことはなかったですね」。受賞については、「こういう晴れがましいことが未来に待っているなんて、夢にも・・・」
野上慎平アナ「63歳。デビュー作が芥川賞です」
司会の羽鳥慎一「なんでもやればできるんでしょうけど、その先が芥川賞だったというのがすごい」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)が「読んでみたんですけど」という。彼は東北出身だ。「東北弁と標準語が混じって出てくるリズムがいいんですよ。東北弁は重いんだけど、文章にすると独特のリズムを持っていて、心地いい」