「まあ、めちゃくちゃなことをやっています」と司会の小倉智昭が苦笑しながら伝える。中国・西安の3軒並ぶレストランの話だ。
左側の店は「右の2軒はまずい」と横断幕を掲げている。右側の店は「左の2軒はまずい」と掲げている。で、真ん中の店の横断幕は「左右の2軒はまずい」と訴えている。3軒揃ってそれぞれ隣の店を非難し合っているのだ。
小倉「ということは、3軒ともまずいということ? いくらライバル店といっても、ここまでやっていいの?」
3人の店主「これは私たちの宣伝なんです」
市民のなかには「これでお客を呼ぶつもり?」といぶかる人もいれば、「わざわざ見に来たよ。まあ、いいと思うよ」という声もあり賛否両論だ。
実はこのケンカにはわけがあった。木下康太郎アナが説明する。「同じ料理を出しているなら分かりますが、左の店は『豚肉の炊き込みご飯』、真ん中の店は『鶏肉の煮込み』、右の店は『鴨の首の燻製』と、それぞれ差別化されています。客を食い合っているわけではないのです。なのに、なぜケンカをしているのか、聞いてみました」
左の店の店長が話す。「これは私たちの宣伝なんです」。3人の店主はともに20代の仲良し仲間。どうしたら店を盛り上げることができるか話し合って、非難合戦を決めたのだという。
効果はどうか。ともに「昼時は手が回らないほど大盛況」「売り上げ10%アップ」と大成功だったが、あまりにも話題になりすぎて、中国当局からお叱りが出た。「他の店の商品やサービスを批判してはならない」という広告法違反で撤去されることになってしまったという。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト