貴乃花インタビュー記事の空虚 どこまでぬかるみ続く

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お金使わないIT長者

   週刊現代の巻頭大特集は「新しい日本の大金持ち100人」である、1位のコーエーテクモHD社長の襟川陽一社長(67歳)の資産が1400億円だそうだ。

   「家業だった染料の卸販売をゲーム開発に大転換。『信長の野望』など人気シリーズを次々と発表。99年に経営の一線を退くも、09年にテクモと経営統合し、再び社長に就任。恵子夫人と二人三脚で社業を拡大させた」(週刊現代)

   弁護士ドットコムを始めた元榮太一郎会長(42歳)は、弁護士という専門家をもっと身近なものにして、世の中をよくしたいという思いでビジネスを始めたという。

   この法律相談サイトで資産222億円をつくり、16年の参院選で自民党から出馬し、当選している。現在、弁護士、経営者、政治家の顔を持っているという。

   私はよくわからないが、ここに出ている新しい金持ちたちの多くはIT長者のようだ。

   だが、資産何百億といっても、個人でそのカネを自由に使えるわけでもないだろう。飲み食いやクルマなどは経費で落とせるとしても。

   またITは浮き沈みが激しい。ジェットコースターに乗っているようなものではないのか。

   ビックデータ解析やAIによる業務支援サービスを提供するユーザローカルの伊藤将雄社長(資産146億円・44歳)はおカネを使わない、いや使えないという。

   「日本社会に閉塞感があるのは確かですよね。日本人の寿命は長くなったために、将来が不安になっている人が多い。景気がいいと言われながら、個人消費が振るわないのもそのためでしょう。

   私自身も同じことを考えています。すぐ死ぬとわかれば、ぱっとおカネを使うかもしれませんが、あと50年近く生きるかもしれないと思うと、無駄なことに使えない。

   一度でも贅沢の味を覚えてしまうと、後で大変だと思うので贅沢をしません。飛行機もファーストクラスはおろか、ビジネスクラスにも一度も乗ったことはないし、乗りたいとも思わない。

   自分のライフスタイルが変わることが怖いんです。ビジネスクラスに乗り続けるために事業を頑張り続けるというのも一つの考えだし、それは否定しませんが、自分には合わないと思います」

   週刊現代は、そうはいっても、時価総額で150億円近くの資産を持っている身だから、多少株を処分して、ビジネスクラスに乗ってもバチは当たらないだろう。だが、このストイックさが新しい経営者の特徴なのかもしれないといっているが、私はそうは思わない。

   IT企業は、少しでも時代に遅れると、あっという間に崩壊していく。その怖さをわかっているから、使わない、使えないのだ。

   クックパッドの創業者・佐野陽光のように、株を売って創業者利益を持ってカリフォルニアに移住するようなのが、一番いいのかもしれない。

   でも、資産が何百億という金持ちがこれだけいるのに、俺のところには、わずかなおこぼれも回ってこないというのはどうしたことか。 

   金持ちはさらにカネを儲け、貧乏人はさらに貧乏になる。嗚呼!

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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