元横綱日馬富士が、貴ノ岩への暴力事件で昨日11日(2017年12月)、鳥取地検へ書類送検された。相撲協会は早速、貴ノ岩への事情聴取の日取りを伝えたが、貴乃花親方は接触しようとせず、また示談にも応ぜずいぜん沈黙を続けている。日馬富士は略式起訴の可能性が強くなっている。
日馬富士の送検を受けて、相撲協会の鏡山危機管理部長が昨日昼過ぎ、貴乃花部屋を訪れて、貴ノ岩への事情聴取の日程を文書で伝えた。鏡山部長の訪問はこれが4回目だが、今回も部屋の扉は閉められたままで、インターホンでの女性とのやり取りだけで終わった。女性は「次からはファクスで」といっていた。
ところがその2時間後の午後2時40分、貴乃花親方が姿を現し、無言のまま車で立ち去った。鏡山部長の訪問時にも、部屋にいたわけだ。親方はその後、夜11時前に戻ったが、この間にどこで、誰と会っていたのは不明。何を考えているのかもわからない。
また、日馬富士の弁護士はファクスで、「貴ノ岩関と貴乃花親方に謝罪するとともに、慰謝の措置の話し合いをお願いしたい」と状況を説明した。日馬富士自身も「示談に向け話し合いたい」といっている。
「地検の判断待つ」と貴乃花親方
貴乃花親方はこれまで、協会に対して「送検後に対応する」といっていたとされる。ところが、今朝(12日)のスポーツニッポンによると、「まだ終わったわけじゃない。地検の判断を待つ」といっているという。起訴か不起訴かの判断まで待つということだ。同紙は「鳥取地検は年内にも略式起訴の方向」と伝えている。
同紙によると、貴ノ岩の状態について親方は、「よくないので大変なことになっている」と言っているという。貴ノ岩の後援会関係者によると、貴ノ岩の傷は治りつつあるが、「心の傷が全然癒されていない」のだという。
今回貴乃花親方は示談に応じないことで、起訴の可能性は高い。手続きとしては、地検が起訴した場合、正式の裁判か、略式起訴かの二つがある。略式起訴だと、罪を認めて罰金を払って釈放となるが、前科はつくから、日馬富士が国籍を取るのは難しくなる可能性がある。
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「略式起訴だと、事実はどこまで明らかになる?」
菅野朋子(弁護士)「起訴状に書かれているものはわかります。どう殴ったとか。しかし動機までとなると......わからない」
司会の羽鳥慎一「地検の判断の時点が、次の動きになるということ」
だがその前に、起訴か不起訴かの判断のカギになる示談を、貴乃花親方が頑なに拒むのは、起訴に持ち込ませようという強い意思とも取れる。日馬富士の相撲界に残りたいという希望も封じるかもしれない。協会との関係もさらに険悪になりかねない。
その結果はすべて貴ノ岩に跳ね返る。悪名にもなりかねない。親方が、そこまで考えているのかどうか。