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福島・茨城の住民「アメリカGE社」560億円提訴!福島原発に安物原子炉売り付け

   いま一つは、忘れ去られた感のある原発問題。週刊現代が久しぶりにこの問題を取り上げている。11月24日、日本原子力発電東海第二原発の運転延長を原子力規制委員会に申請した。だが、第二原発は40年間の運転期限が迫っているのだ。そのため、20年延長させようというのである。

   週刊現代によると、申請を行う1週間前に「驚くべき事実が明るみになった」という。<原発廃炉のための「解体引当金」(原電の場合、4基で合計1800億円)を流用し、なんと敦賀3・4号機の原発建設費用に充てていたというのだ。その結果、緊急時に使える手元の現預金は3月末で187億円しか残っていなかった>(週刊現代)

   東海第二原発を動かさないと宣言したら、基本料収入も債務保証もなくなる。再稼働しない限り、会社が破たんしてしまう状況にあるから、廃炉にはできないのだ。

   福島第一原発事故を経験して、いったん「事故が起これば人権も生存権も侵害する」(同志社大学浜矩子教授)のに、それを忘れ去ったかのような東電などの電力会社は、「人の道に外れてないか」(週刊現代)。こういう連中を「人非人」というのである。

   週刊朝日も、福島県と茨城県の住民と法人が、アメリカのマサチューセッツ州ボストンの連邦地方裁判所に訴状を提出したと報じている。被告はボストンに本社を置くGE。地元紙はGEに560億円規模の集団訴訟と報じている。

   GEは東京電力福島第一原発の設計から製造、設置までかかわったが、コストを抑えるために、標準よりも小さく安物の原子炉を設計して設置した。しかも、当初は海抜35メートルに建てるはずの原子炉建屋を、冷却水をこの高さまで汲み上げられないため、GEは土地を削り海抜10メートルに設置した。それが津波を被る原因になった。GEの安全性に対して、設計に関わった人間が1976年に退職して運転停止を訴えている。

   米国のクラスアクション(集団訴訟)は、被害者の一部が全体を代表して訴訟を起こすことが出来るから、被告が負ければ莫大な損害賠償が科せられる。だが、乗り越えなければならないハードルは高く厳しい。どうなるか注視していきたい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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