ジャーナリズムのご意見番亡くなる
原寿雄が亡くなった。享年92歳。元共同通信社編集主幹というよりも『デスク日記 マスコミと歴史』(みすず書房)の著者、小和田次郎のほうが、私にはピンとくる。
少なくとも、ジャーナリズムを志す者は一度は読んだであろう名著である。
私は、鳥越俊太郎がキャスターを務めていたテレビ朝日の「ザ・スクープ」が終了させられることに反対する会で会ったのが最初である。
最初の印象はよくなかった。新聞や通信社がジャーナリズムで、お前たち雑誌屋は一段下だという意識が見え見えの発言に、食ってかかったことがある。
だが、彼の話すジャーナリストとしての心構え、権力批判、新聞批判は的を射ていて、胸のすく思いがしたものだ。ジャーナリズムのご意見番であった。もっと話を聞いておけばよかったと思う。