国家ぐるみのドーピング疑惑で、平昌五輪への参加を止められたロシアの「潔白」な選手たちはどうなるのか。プーチン大統領は、個人での参加を「邪魔はしない」といったが、自由主義の国のようにはいかない事情もあるらしい。「みんなで出れば怖くない」と「たけし流」もありか?
ロシア五輪委の資格停止(国としての参加禁止)を決めた国際オリンピック委(IOC)理事会では、フィギュアスケートの絶対女王、エフゲニア・メドベデワ選手(18)が「チャンスをください」と訴えていたが、聞き入れられなかった。
彼女はこういった。「2014年(ソチ五輪)私は14歳だった。平昌は初めての五輪になる。私たちはドーピングとは関係ありません。五輪は私の夢。チャンスをください」。最後に「中立選手として、ロシア国旗なしでの出場を受け入れられません。国を代表して五輪に出場するのはこの上ない栄誉です」と。
その国家が、ドーピングをやったことには触れず。
中村逸郎・筑波大教授は、「これロシア人の気持ちそのもの。世論調査だと、悪いのは政治家とトレーナーだというのが51%、選手が悪いというのは14%。だから彼女が『チャンスをください』というのは理解できる」という。
高木美保(タレント)は、「国ぐるみだと聞くと、このコメントも操作されてはいないか? と思っちゃう」とひねくれ。
玉川徹(テレビ朝日解説委員)は、「純粋に選手としてスピーチしてない。ロシアを背負わされている。かわいそうなのは、最後のところ(個人参加は受け入れられない)を言わないといけないこと。彼女は今後、これに縛られちゃう」
プーチン大統領は10月(2017年)、「国旗を使用できないのは屈辱だ」と言っていたが、IOCの決定を受けて昨日(12月6日)、「個人の判断で参加する邪魔はしない」といった。これについて中村教授は「実際は難しいのではないか。プーチンの本音を皆知っている。また、外国でドーピング検査を受ける費用もトレーナーの費用も自費になる」という。
次の大統領選挙は3月(2018年)で、平昌五輪の時に選挙運動が始まるのだそうだ。どうしたら、より票が取れるか、これは極めて政治的な話でもある。
ロシアはソチ五輪で金13、銀11、銅9と過去最多のメダルを獲ったが、世界反ドーピング機構の告発で、金4、銀6、銅1が剥奪された。また、リオ五輪では、陸上選手らが出場禁止となった(他競技の271人が出場)。この時、「潔白」の条件をクリアして出場した女子陸上選手は、「裏切り者」などの非難を浴び、アメリカに移っている。
プーチン大統領の誤算
プーチン大統領とIOCのバッハ会長は親密さで知られていた。だから、今回のIOCの決定に、「プーチンの誤算かもしれない」というのは、作家の長田渚左さん。
しかし、ロシアが完全に出ないことになると、先のメドベデワ選手はじめ、世界のトップ選手が大勢欠けることになる。平昌の3分の1のメダルの行方に影響が出るとも言われる。
玉川「全員出ればいいじゃない」
司会の羽鳥慎一「これが難しい。リオでも棒高跳びのイシンバエワ選手の例がある。自らは『白』だったが、個人参加は拒否した」
長田さん「みんなで出ればいい。ロシアのトップ選手が出ないと、ロシアがいない時のメダルといわれる」
ロシアでは12日に、この問題を話し合う会合が開かれる。
長田「そこでフィギュアの選手がみんな泣けばいい。それをテレビが流して、プーチン大統領が寛大になれば、選挙で票も集まる」(笑)
あの国のことは、なかなか予想が立てられない。