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「成人誌」の線引きどこに?

   ところで、気になっていることがある。イオンが成人向け雑誌の販売を中止する方針だという。

   書店を含め、雑誌を扱うグループの全国7千店で、来年1月から販売をやめるそうだし、傘下のコンビニ「ミニストップ」は12月から千葉市内で先行して取り組むという。

   女性や子どもが安心して店舗を訪れるよう配慮するためだというのだが、成人誌というあいまいないい方がとても心配である。

   今でもエロが中心の雑誌は別の棚に置かれ、目立たないようにしている。女性や子供に配慮というなら、今週の週刊現代のように表紙にデカデカと「紀州のドン・ファン4000個の女性器を語る」は引っかかるのではないか。

   フライデーはどうなのか。いまや週刊誌はコンビニの売り上げが頼りである。そこから排除されたら、即休刊という雑誌は多い。

   私の経験を話そう。ヘアヌード全盛時、この言葉を創ったとして朝日新聞を始め、多くのメディアに叩かれた。

   その理由は、女性や子どもが手に取れる雑誌にこんなものを載せるのは許せないというものだった。

   そのころ裁判沙汰になっていた新興宗教団体が、現代に広告を出している企業に「広告を出すのを止めろ」と押しかけたりしていた。メディアも航空業界に「機内誌から外せ」といい出し、ついに、JALやANAなどすべての航空会社は機内誌から週刊現代と週刊ポストを外してしまった。

   被害は8000部だった。今なら休刊に追い込まれるかもしれない。週刊現代、週刊ポスト、フライデーが成人誌に指定されないとも限らない。そのせいか、このところ週刊ポストは、死ぬまでSEXを表紙で大きく謳っていない。

   言論規制は必ずエロから入る。書店、キオスクが減り続ける中で、コンビニからも外されたら、雑誌が存続するのは難しい。雑誌協会と書籍出版協会は、もっと危機感を持って、コンビニ業界に「成人誌」の線引きについて問いただすべきである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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