横綱・日馬富士(33)の暴行問題について話し合った27日(2017年11月)の横綱審議委員会。会見した北村正任委員長(毎日新聞名誉顧問)によると、「厳しい処分が必要という意見が委員会全体だった」という。
『とくダネ!』がゲストに横審委員の山内正之東大名誉教授と日本相撲協会評議員会の池坊保子議長を招き横審で話し合われた内容を取り上げた。
ところが途中で山内横審委員が「それでは私が全く感情のないような人間のように見えますが...」と色をなす場面があった。
横綱・白鵬が優勝インタビューで万歳三唱に触れた小倉キャスターが「あの時は周囲にいたファンは誰もが喜んでいましたね」と発言したのがきっかけだった。
池坊議長「私も千秋楽に行っていて、万歳と言われ思わず万歳をしました。事件は事件。でも土俵は土俵で暗い気持ちで来ていた人はどなたもいなかった。何の思いもなく私も万歳。千秋楽が終わって喜びと安堵感。私は素直にそう思いました」。
小倉智昭キャスター「私は、あの白鵬のインタビューはラジオで聞いた。個人的に私は日馬富士のファンということもあったからなんでしょうが、胸に迫るものがあった」。
これを聞いた山内横審委員は色をなしながらも諭すようにこう話した。
「日馬富士は人間的に素晴らしいものを持っている。貴ノ岩との関係で言えば二人とも幼いころ両親に死なれ苦労している。貴ノ岩を可愛がっていたことも知っています。しかしながら公の世界で暴力を伴って出てきた。
それについて内輪もめの論理あるいは日馬富士ファンだけでは済まされない。法の論理、法の支配でこの社会は動いている。人権の問題、横綱の地位に対する尊敬という気持ちがあって厳粛な気持ちで話し合ったことは理解してほしい」
さらに池坊議長から日馬富士を擁護するこんな意見が出た。「1人の人間の一生がかかっている。ここでは言えないが、日馬富士自身が落ち込んで、叩いた自分が悪かったんだと自責の念で小さな部屋に籠って追い込まれていると聞いている」。
横綱審議委員会の役割とは
これにも山内横審委員は丁寧に次のように話した。
「暴力根絶を誓ってそれを鋭意進めてきた。協会の理事長もゆるがせにできないと。それを横審も共有しているということです」、「角界ファン、後援会の論理だけでは物事考えられない。大きな社会の中における相撲界とは何かという観点を持つことがご意見番としての横審の大きな役割と思っている」
日馬富士の暴力問題の当初からの印象は、モンゴル出身力士が集まった飲み会で、日馬富士が貴ノ岩を殴り続けるのを白鵬はじめ多くの力士たちが囲みながら黙ってみていたのではないか。当初は1月場所14日目で白鵬に勝った貴ノ岩への集団リンチ的な様相を呈していたのではないかと疑ったものだ。
4人の横綱のうち3人がモンゴル出身で多いとはいえ大相撲は日本の国技。いまだに日馬富士を擁護する相撲バカもいい加減にしてほしい、というのがこの日の感想だった。