横綱審議委員会は昨日27日(2017年11月)、横綱日馬富士が前頭の貴ノ岩に暴行した問題を協議し、日馬富士には厳しい処分が必要との見解を示した。また、横綱白鵬の千秋楽の発言やバンザイ、貴乃花親方の態度にも疑義を示した。
横審を終えて北村正任委員長が会見した。北村氏は日馬富士については、「暴力があったことは間違いない」とし、委員の総意として、厳しい処分が必要だろうと述べた。また相撲協会の調査を拒否する貴乃花親方の姿勢には、「納得できない」「不可解だ」と不快感を示した。また、親方と貴ノ岩とが一致しているのか、に疑問を持つ。
さらに、白鵬については、まだ事件を協会が十分に把握していないにもかかわらず、千秋楽での会見で、「2人の力士を再び土俵に上げてやりたい」と述べたことに、委員から問題視する向きがあったと述べた。特にバンザイについて北村氏は、「なんでバンザイできるんだろう。白鵬自身が現場にいて、膿を出すとか、横綱としておかしいという意見が多かった」と話した。
日馬富士は相変わらず沈黙を通しているが、貴乃花親方は一昨日、千秋楽の打ち上げで、自らの沈黙に触れた。「正統な裁きが必要」「しゃべっても貴ノ岩の傷は癒えない。本気で相撲道に取り組む弟子しか育てたくない」とストイックな姿勢を崩していない。ただ、その場で珍しく、石原裕次郎の「嘆きのメロディ」を歌って、周囲をビックリさせた。親方が歌ったのは初めてではないかという。これは何を意味するのか。
ホッチキスが9つ並ぶ傷口
こうした動きとは別に、モンゴルに戻った元小結旭鷲山からJNNが、貴ノ岩のものとみられる頭の傷の写真を入手した。髷をかき分けて傷を見せている図で、頭頂部のやや左、後頭部へ向かって長い傷があり、アップの一枚では、医療用ホッチキスが9つ並ぶ生々しいものだ。
旭鷲山は、知人が貴ノ岩から受け取ったものだとし、「本当に貴ノ岩かどうかはわからない。見ていないか」といったが、髷を結った力士でこんな怪我をした者は他にいないだろう。
写真を見た医師も、「素手でできる傷じゃない。硬い鈍器のようなもので殴られた傷だ。それも相当な力でないと」という。確かに痛々しい。これが貴ノ岩なら、鳥取での事件の翌日に縫ってもらった痕ということになる。まずそれに間違いはあるまい。
またこれとは別に、事件のあった当夜、午前様の時間に日馬富士らに出会ったという鳥取市内の女性がいた。
これは時間的に、貴ノ岩を殴った後だ。女性の話からは、白鵬も日馬富士も、大したことではないと思っていたのが伺える。ただ、貴ノ岩の頭の傷が写真通りだったとしたら、ものすごい出血だったはずだ。懇親会場を取材すれば、証言は簡単に取れるはず。傷を縫った医者の話も聞けるはずなのだが......。
司会の国分太一「2週間になりますが、まだ真相が解明されません」
堀尾正明アナ「(写真の)傷口がすごい。相当出血もしただろうし、翌日から巡業に参加というのも、にわかには信じられない」
国分「外から見たのではわからないとはいえ、驚き」
とはいえ、話は横審の処分に向かう。不祥事などでの横綱の処分には「激励」「注意」「引退勧告」とある。強制力はないが、過去には朝青龍が「引退勧告」から引退に追い込まれている。基準になるのは「品格」「気迫」「責任感」「生活態度」などと抽象的。どうなるのか。
「ビビット」が行った緊急ネットアンケート(男女100人)では、日馬富士は「引退すべき」が53%、貴乃花親方には「何らかの処分をすべき」が56%だった。
警察は今日にも、白鵬らから事情聴取する方針だという。また、協会の危機管理委員会も動き出す予定だ。