「きょう(2017年13日)午後、負傷した北朝鮮の兵士が板門店の韓国側の共同警備区域を通じて亡命してきました」と韓国軍広報が発表した。
板門店は韓国軍を中心とした国連軍と北朝鮮が共同管理している。その場所で、きのう午後3時31分、数発の銃声が響いた。境界線から韓国軍に50メートルのところで1人の男性兵士を発見した。銃傷を受け肩とひじを負傷していたため、ヘリコプターで緊急搬送した。兵士は軍服を着ていたが、階級や年齢などは確認されていない。韓国軍と北朝鮮側の交戦はなにもなかった。
コリア・レポート編集長の辺真一氏は、板門店に配属されている兵士について「思想的にも問題ない、家庭的にも問題ない、選りすぐりの若い兵士たち」と話す。そうした兵士がなぜ亡命したのか。辺氏は「最も亡命しやすい立場。脱北するためのコース、ルート、地雷の場所まで知っている」
2日前の誤射事件に北は無反応
では、いまのタイミングはなんだったのか。辺氏は「実は2日前に韓国側が誤射した事件があった。通常なら反撃するところだが、北朝鮮は無反応だった。いまは緊張関係があるので、もし、小競り合いが始まったら、最悪のケースになると分かっているので、自重したのだろう」と指摘し、「その兵士は、亡命しても追いかけてくることはない、と判断したのだろう」と推測する。
玉川徹「テレビ朝日解説委員)「やっぱり北朝鮮側はやりたくないんですよ、戦争を。北朝鮮側から戦争を仕掛けて始まると、滅亡なんですから、あれだけ脅しをかけて来ていますが、やはり、やれないということじゃないかな」
今後について辺氏は「北朝鮮は韓国人が引き渡せないことを分かっているし、今は大きな問題は避けたいので、このまま終わるのではないか」とみている。