神戸製鋼、日産「改ざん・不正の底なし沼」会社ぐるみで黙認

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   神戸製鋼で発覚したアルミ、銅などの検査証明書データの改ざんは、会社の信頼を「ゼロに落とした」(川崎博也社長)。昨年(2016年)、子会社であった不正の調査で発覚したとされ、国内4工場とされていたものが、他の工場の厚板、特殊鋼、ステンレス鋼などにも及び、マレーシア、中国なども含め17工場に及んだ。

   山口・下関の長府製造所の主力はアルミだ。製品は強度や加工のしやすさなど、顧客の注文に応じて作られる。出荷前に契約品質を満たしているかどうかを詳細に検査し、「品質保証室」で証明書が発行される。その数値がたびたび改ざんされていた。

   元担当社員が手口を明かした。改ざんは40年以上も前からあった。現場では「メイキング」という隠語で呼ばれていた。検査で不合格だと機械から赤い紙が出てくる。そのため、品質保証室長と相談して改ざんした数値を入力する。これが「メイキング」だ。製品には必ずばらつきが出る。顧客との契約を満たさないものが一定の割合で出てしまう。作り直す時間とコストを考え、「メイキング」は生まれたのだという。優先されたのは、品質よりも納期だった。

   さらに、「契約を満たしていなくても、安全性に問題はない」という考えが根強かった。たとえば、規格は8%だが、検査結果は7.9%だったとする。わずか0.1%。これを「合格として出しても安全性に問題はない」という判断だ。

不合格品を了解の上で売る「トクサイ」

   神戸製鋼はこの10年で5度の最終赤字を経ていた。こうした中で期待をかけられたのが車などの部品需要が高いアルミ部門だった。栃木・真岡製造所の元社員は、生産効率を上げろという現場への圧力が強かったという。「コストダウンして出荷しないといけない。費用と納期とでものすごいプレッシャーがあった」

   他の部署で改ざんに気づいている人たちもいた。しかし、組織は縦割りで、声を上げる仕組みもなかった。「注意する雰囲気はない。いい悪いという問題意識もなかった」と話す。

   NHK経済部の下村直人記者はトクサイ(特別採用)という商習慣を指摘した。不合格品を了解の上で売る、いわばアウトレット。これが了解なしでメイキングにまで発展したのだという。ただ、不正発覚後も「安全性に問題はない。何が悪いのか」という元役員もいたという。

   経営コンサルタントの遠藤功さんは「神戸製鋼特有の事情がある」と解説する。創業100年、高品質で付加価値の高い製品には神鋼でしか作れないものもある。また、業界再編も進む中、神鋼は独立経営維持という方針を貫いていた。そのため、現場が相当に無理をしていたとも考えられるという。

文   ヤンヤン
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