神奈川県座間市で9人の遺体をバラバラにした死体遺棄事件。このうちの1人の女性の身元が、東京八王子市の田村愛子さん(23)と確認された。家で使用していた田村さんの歯ブラシから採取したDNA型と遺体のDNA型が一致したという。
今回の事件が発覚したのは、防犯カメラ映像に男と連れ立って歩く女性の兄が、警視庁に10月24日(2017年)行方不明の届け出をしたのがきっかけとなった。
その後、白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=のアパートを突き止め、クーラーボックスに入れて隠していた遺体の一部が田村さんと確認された。
白石容疑者は、田村さんが9月20日にツイッターに「死にたいけど一人だと怖い。誰か一緒に死んでくれる方いましたらdm(ダイレクトメッセージ)ください」と投稿しているのを見て、自殺願望者を装い接触。10月23日アパートに招き入れてすぐに殺害したらしい。 白石容疑者は「会ったその日に殺害した」「楽して暮らしたかった。殺した方が早いし証拠も残らない」と供述しているという。
自殺望んでいなかった可能性も
では、田村さんがこの時点で本心から死を望んでいたのか?
番組が入手した白石容疑者がアパートに誘うために連れ立って歩く田村さんとみられる女性の防犯カメラの映像を見た吉川祐二・元警視庁刑事は次のような疑問を呈している。
「私も何人か自殺願望者の相談を受けたことがあるが、間近に死を覚悟した人はうつむき加減で歩く。映像を見ると普通に歩いており、これから死のうと思っているようには見えない。誰かに悩みを話すと『すっきりした。もうやめます』というのがほとんどです」
白石容疑者も「実際に会ってみると、死にたいと思っている人はいなかった」と供述している。
ほかの8人については現在、群馬、福島、埼玉3県の15歳~17歳の女子高校生、埼玉県の女性(26)、同県の女子大生(19)、神奈川県の女性(25)、同県の女性(21)とその交際相手の男性(20)とみられている。
警視庁では、アパートに無造作の置かれたキャッシュカートや診察券など8人について身元の特定につながる情報を得ており順次、身元が判明するとみられる。