よくいわれるが、政治は一寸先は闇である。今回の選挙ぐらいこの言葉を実感させてくれたものはない。
安倍首相の苦し紛れの不意打ち解散で、野党がどんな形であれ「反安倍」共闘でまとまれば自民党の議席を60~70は減らすことが出来たはずだ。
都知事のまま希望の党を立ち上げた小池百合子が、一瞬、期待を集めたのは、これで反安倍の旗印がより鮮明になると有権者が期待したからであろう。
今日(10月9日)発売の週刊文春は巻頭で「全選挙区最終予想」をやっているが、同誌が公示前にやった予測では、自民党は74議席減で単独過半数割れ、希望の党は101議席としていた。
だが、口は禍の元。会見で漏らした「排除」という言葉が、有権者の期待を裏切り、希望を絶望に変えてしまった。
たしかに週刊ポストで、ビートたけしがいっているように、希望という党名はセンスがない。「なんだか宗教臭くて、『また宗教政党が出てきたのか』って勘違いしちまうよ」(たけし)
週刊文春に文藝春秋11月号の広告が載っている。売り物だった小池百合子のインタビューが極めて小さい扱いになり、たいして面白くない有識者3人の鼎談「小池も安倍も同じ穴の狢だ」をトップにもってきている。小池では売れないと判断した苦肉の策であろう。
小池代表の暴言を引き出したフリージャーナリスト
よく知られていることだが、小池の大暴言を引き出したのは、フリージャーナリストの横田一である。
いつもは手を上げても指されない横田だが、9月29日の小池知事の定例会見が終わった後に行われた会見で、小池は横田を指名した。実に半年ぶりだったという。
「民進党から希望への公認申請者は排除されないという前原誠司代表の話と小池氏の話が食い違っていたので、素朴な疑問をぶつけた」(横田=週刊朝日オンライン10月15日より)
会見場には「質問をする横田氏を嘲笑するかのような、弛緩した空気が充満していた」(同)そうである。そして〈運命のひと言〉が小池の口から飛び出したのだ。
この言葉は現在の日本の状況をもよく表している。安倍自民党政権は国民を弱者を高齢者を排除している。だから有権者は敏感に反応したのだ。
さらに週刊新潮は、小池の党は「振り込め詐欺」だと批判している。希望から出馬する候補は、供託金300万円に加えて100~200万の資金提供を求められ、通常は党が負担するべき重複立候補の比例区の供託金300万円も払わせられるという。
もちろんこれ以外に選挙費用も自腹で、小池と一緒に写真を撮れば3万円とられる。
挙句に、直前まで出馬する候補地が決まらないため、事務所を用意する時間もカネもなく、ビジネスホテルの一室にビラやポスターを置いている候補までいるそうだ。
週刊新潮で当選が絶望的な候補者がこう嘆いている。
「"排除"発言で世間は『失望』し、若狭さんの"政権奪取は次の次"発言で、それは『絶望』に代わりました。今の風当たりを見ていると、もはや『死亡の党』ですね」
だが小池は22日の投開票日にはパリにいるそうだ。テレビ東京の人気番組、選挙特番で池上彰から、「なぜ排除などといったのか」と詰問されるのを恐れたからではないか。