福井県池田町の町立池田中学で、2年生の男子生徒が担任・副担任による執拗な叱責を受け追い詰められた末に自殺した問題。「校長、教頭の指導監督責任」を巡って調査委員会の報告書と校長の主張が対立していることが新たに分かった。
登校を義務付けられている中学校内部でいじめなどの問題が発生すると閉鎖的になる教育の現場。とくに今回は担任・副担任による過度な叱責が原因と指摘されただけに学校側の対応に『とくダネ!』出演者から批判が噴出した。
その経緯はこうだ。
調査委の報告書(要約版)が発表された15日に記者会見した堀口修一校長は「(担任、副担任の叱責の事実を)把握しておりませんでしたので、私自身その認識がありませんでした」と語った。
さらに記者から「報告がなかったからか?」と問われても「私どもにそういう話が報告として挙がっていなかったからです」と答えていた。
ところが、番組が入手した57ページにのぼる報告書全文には、要約版では省かれていた「校長、教頭の指導監督責任」について3ページにわたって言及されていた。
その中で「校長、教頭とも副担任が(亡くなった)生徒を大声でしかる場面を見ており、担任に対し『叱る場面を見た後はフォローするよう』にと注意もしていた」と記されている。
さらに「事故当日、(生徒が搬送された先の)病院で校長や他の教員は遺族と目を合わせようとせず冷たい態度だった」と指摘。
しかも、校長は当初、遺族に対し納得がいかない説明に終始したため、遺族が県教育課に相談すると、校長の態度が一変し、その日のうちに遺族のもとを訪れ初めて「学校で起きたことは私の全責任です」と話し、頭を下げたと記している。
ところが校長はその後も二転三転し、報道陣に対しこう述べている。「私はその生徒が厳しく叱責されるところを見ていない。私の主張は一貫している」。
少人数の学校なのになぜ
池田町は人口2700人の小さな町で小・中学校が各1校ずつだけ。池田中学の全校生徒数は52人で、全学年1クラスずつ。亡くなった男子生徒が在籍していた2年生は21人だった。
小倉キャスターが「52人しかいない学校なら校長は何でも分かっているはず」と訝る。
またコメンテーターの岡部磨知(バイオリニスト)は「小・中学校1校ずつで転校もできず逃げ場のない中で、この先生たちがまだ先生を続けていることに私としては恐ろしさを感じる」と怒った。
報告書全文に記された「校長、教頭の指導監督責任」の箇所が、なぜ調査委が作成した要約版では省かれたのかも不可解。町教育長は「省かれた理由はわからない」と話しているが、生徒を死に追い詰めた担任・副担任による過度の叱責が簡単に解決するわけがない。
笠井信輔アナは「調査報告書と校長の主張の食い違いについて調査委員会が改めて記者会見を開き説明する必要があります。それに今まで一言もなかった担任・副担任の言い分もあるのではないですか」と未解決の問題が多いことを強調した。