埼玉・行田市消防本部の30代の消防士長が、上司の消防長から退職を強要されるなど「パワハラ」を受けたとして、今月11日(2017年10月)、「慰謝料」を求め市を提訴した。「ビビット」は「パワハラ」を録音したという音声を流した。音声はこんな調子だ。
「だから役に立たないって」「優しく言ってりゃさ、いい加減にしろ」「あんたの給料でもっとまともな人が雇えるんだよ」「お前をカバーするためにどれだけの人が苦労してると思ってるんだ」
消防士長は録音は2012年12月27日のもので、こうした叱責が5年近くも続いていたため、会話の録音を始めたと説明した。録音を始める前に、自治労連に相談したという。自治労が消防長に連絡を入れると、「自治労連、弁護士、何をしようと構いませんが、(消防士長は)ここにはいられないんじゃないですか、恥ずかしくて。消防本部、市役所を敵に回してるんですよ。宣戦布告ですよ」と開き直っていた。
その後、消防長は「誓約書を持ってこいよ」と要求し、「1年以内に全ての仕事ができるようにならなければ退職します」と書かされた。草取りをさせられたこともあり、パソコンの上にペンを置いただけで始末書を取られもしたという。うつ病と診断され休職すると、「君はここには向かないんだから、君に向く仕事を探したほうがいいって再三いってるだろ」という録音もあり、消防士長の弁護士は長年にわたる退職勧奨や退職しますという誓約書はパワハラに当たるとしている。
動かぬ録音証拠
行田市長は消防長を訓告処分とし、消防士長は昨年7月(2016年)に復職、主に事務処理作業をしているという。裁判は来月17日に予定されている。
司会の国分太一「パワハラの判断は難しいんじゃないですか」
三輪記子(弁護士)「難しいですね。丁寧に事実を調べないといけないので、録音音声があると違ってくるでしょうね」
中田敦彦(タレント)「行田市の対応によって違ってくる。野蛮な仕方が教育的指導でまとめられちゃうのか」
消防士の仕事は危険と隣り合わせだ。職場の一体感と信頼関係が不可欠なはずで、それだけに指示・命令の徹底や先輩・後輩の関係は厳しい。はたして、この消防長一人の問題なのか。消防士の世界を検証する必要はないか。