介護する方もされる方ももっとも悩むのが排泄ケアだという。厚生労働省の調査では、介護をする側の悩み度ランキングの1位は「排泄」で62.5%、2位「入浴」58.3%、3位「食事」49.1%だった。元おニャン子クラブのメンバーの新田恵利さん(49)は3年前から母親・ひで子さん(88)を在宅介護しているが、オムツの処理をされる恥ずかしさで涙を流す母親の姿に戸惑ったと話した。自力でトイレに行けなくなり、泣いて「気づかないうちのおしっこを漏らしちゃったの」と訴えた。
排泄ケアは介護をする人の負担も大きいが、受ける人も恥ずかしさ、プライドが傷つくなどの問題があり、お互いが辛い思いを抱える。広島でオムツの正しいつけ方を学ぶ研修会が行われ、新田さんも参加した。2日間の「おむつフィッター研修会」を主宰した「むつき庵」の浜田きよ子代表は、「排泄がうまくケアできたら、暮らし方が変わっていく」という。
オムツはしっかり股間にフィットさせることで尿は漏れにくくなり、腰骨まで覆うようにテープでとめれば、寝返りでもごわついた不快感がなくなる。新田さんは体を過度に締め付けないようにと緩めにとめていたが、逆だったことが分かった。
正しいオムツの当て方研修に参加
認知症患者などのために、排泄が近づくと下腹部につけたセンサーで知らせる機器も開発されている。超音波で膀胱の大きさを測り、尿の量を推計する。ベッドシートが吸い込んだ臭いをセンサーが検知し、排泄のあったことを知らせる技術の実用化も進められている。
しかし、昨日今日の介護ではどうしたらいいのか。「排せつ困りごと110番相談室」を設けている「日本コンチネンス協会」の西村かおる会長は、「排泄した尿量や水分摂取の日時を記録した排せつ日誌をぜひつけてください。尿漏れの改善につながる可能性がある」と提案する。
オムツの取り替えのコツを習得した新田さんは、「下痢をしたときの臭いはすごいんですよ。おえっ、おえってなっていたら、いきなり母は笑いだして、『そんなに臭い?』って聞くんですよ。臭いに決まっているじゃんって言いながら、二人で大笑いしました」と話す。「決して楽しいことではないけど、ちょっとしたノウハウと気持ちで、明るく介護ができます。前向きに頑張ってほしい」と訴えた。