高齢者搾取が進もうとしている
週刊ポストはこのところ、政府や役人たちの汚い高齢者搾取のやり口を告発している。
こうした追及が他誌でも始まれば、高齢者の圧倒的多数が反安倍で結集するはずだ。
週刊ポストによれば、宮澤洋一・自民党税制調査会長は新聞各社のインタビューに、「高額な年金をもらっている人に今と同じ控除をする必要があるか」という"暴言"を吐いたというのである。
最大の問題は、ここで「高額な年金をもらっている」といいながら、その実、年金の少ない高齢者も控除を縮小してしまえというのだから、とんでもない話なのである。
週刊ポストによると、年金月額15万円、年間180万円の65歳以上の高齢者の場合、公的年金等控除が廃止されれば、所得税・住民税が合わせて年間18万円もの増税になるという。
そのうえ、国民健康保険や介護保険料も月に数千円アップする。これまでは年金収入が約200万円までなら実質非課税だったのに。こんな政権がこのまま続けば、高齢者は死に絶える。
日弁連の調査(14年)によると、自己破産者に占める70歳以上の割合は05年の3.05%から急増し、全体の8.63%を占めるまでに至っている。
みずほ中央法律事務所の代表・三平聡史弁護士がこういう。
「70代の高齢者から"自己破産を申請しようと悩んでいる"という相談が数多く寄せられています。自己破産の全相談件数の1割は70代という印象です。"定年後に収入が激減したのに現役時代と同じ生活レベルを維持しようとして年金も貯蓄も使い果たしてしまった"という相談が非常に多い」
今年6月時点で164万519の生活保護世帯のうち、65歳以上の世帯はその過半数を占め、過去最多を更新したという。
日本総合研究所の星貴子・調査部副主任研究員が今年6月に発表した論文では、収入が生活保護水準を下回ったり、預貯金を切り崩しても生活保護水準が維持できない「生活困窮高齢者世帯」は、その予備軍も合わせて2020年には531万世帯に、2035年には562万世帯に上ると予測している。
これは実に高齢者世帯全体の27.8%に及ぶ数字である。この数字は、高齢者は年金をもらい過ぎだという政府の主張と大きな乖離があると経済ジャーナリストの荻原博子がいう。まさに「国家的犯罪」である。
こうした問題こそ、総選挙の争点にするべきだと思う。