米のトランプ大統領は19日(2017年9月)、就任後初めて国連総会で演説し、焦点の北朝鮮のミサイル挑発問題で、金正恩委員長を「ロケットマン」と呼ぶなど、激しく攻撃した。中で初めて日本人拉致にも触れ、国際社会に一石を投じた。しかし、実際の軍事行動については「そうならないことを望む」とした。
トランプ大統領は、最初に「アメリカ・ファースト」の方針を説明。ついで、北朝鮮の核・ミサイル開発を「世界全体の脅威だ」として、国連が一体となって核の放棄を迫るよう求めた。
トランプ大統領は、北の体制を「ならず者体制だ」とこき下ろし、「ロケットマンが体制のために自殺行為を進めている」と金正恩委員長を非難した。さらに「アメリカはあらゆる手段を講じて、自国と同盟国を守る」「自国や同盟国を防衛せざるを得なければ、アメリカは北朝鮮を完全に破壊するしかなくなってしまう」「そうならないことを望む」と述べた。
また、加盟国には、安保理の制裁決議を確実な履行を求め、決議に賛成した中国とロシアに謝意を表明した。
「13歳の少女を拉致」と横田めぐみさんに触れる
大統領はさらに、北の非道と人権侵害を強調するものとして、「13歳の少女を日本の海岸から拉致した」と横田めぐみさんに言及。「スパイの日本語教師として奴隷にしたことを知っている」と言った。
アメリカの大統領が公に拉致問題に触れたのは初めて。日本政府は「非常にありがたい」と歓迎の意を表明した。
一方、北朝鮮の国連大使は、演説の途中で退席し、のちにボイコットだと認めた。北朝鮮が反発を強めるのは確実だが、どんな手を打ってくるかはわからない。
アメリカ、日本が北への圧力強化に、どれだけ国際社会の協力を取り付けられるかが焦点となる。
森圭介アナ「アメリカの大統領が初めて拉致問題に言及しました」
宮崎哲弥(評論家)「異例のこと。特に国連総会ですから、日本にとっては、拉致問題が国際的に認知されて、ありがたいことだ。が、北の非道性の強調が、今後あるかもしれない軍事行動を正当化するような演説の枠組みだった」
司会の加藤浩次「北朝鮮を破壊するしかなくなる、というのは相当強い言葉」
宮崎「その強さも異例」
森「同時に今回は国際協調という言葉も多く使われた」
飯田泰之(経済学者)「経済制裁は一国では効果がない。どう中国とロシアの協力を取り付けるかだが、実効ある手段は限られる。言葉が強いのは、決定打を持っていないことの表れかも」
時間が経てば経つほど、北の核・ミサイル技術は進む。先の中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射では、初めて移動発射台を置いたまま打ち上げており、どこからでも撃てる機動性向上を誇示した。アメリカがどこまで忍耐を保てるかは、他人事ではない。