国連安保理は日本時間の今日12日(2017年9月)午前7時すぎ、北朝鮮の核とミサイルの挑発に対する制裁決議を全会一致で可決した。米が出した「最強」と言われる原案からは大幅修正され、中国、ロシアに配慮した形だが、北の出方次第では、「次がある」という意味合いも持っている。
米の出した制裁決議案は、1)石油、石油製品、天然ガスの全面輸出禁止、2)金正恩委員長の渡航禁止と資産凍結、3)北朝鮮労働者の雇用禁止、4)繊維製品の輸入禁止など、もし実施されれば、北の経済を壊滅状態に追い込む内容だった。
しかし、中国とロシアがこれに強い難色を示していたため、米は大幅な修正案を出して、水面下の交渉が行われた結果、予定より3時間以上遅れたものの、全会一致(常任理事国5、非常任理事国10)で可決した。
修正案は、天然ガスは全面禁止だが、石油については上限を設定するなどとした。また、金委員長に関する項目はなくなり、北の労働者については、新規ビザの発給・更新を停止する、にとどめた。米政府によると、これによって、北朝鮮の石油輸入は3割方減るという。
北朝鮮はこの採決を前に、「もし最強の制裁決議が通るなら、アメリカが相応の代償を払うようにする」と脅しをかけるような声明を出していた。今回の制裁に、北はどう動くのか。また、制裁の実効はどうなのか。
元国連北朝鮮制裁委員会の古川勝久さんは、「アメリカは最強のものを打ち出して、その中から中国、ロシアが受け入れ可能なものに絞って、決議を成立させた。それでも北への圧迫は強化された。しかし、核・ミサイルの開発が止まる可能性は薄い」という。
枠組み作りには成功
小此木政夫・慶大名誉教授は、「アメリカとしては、枠組みを作ったのは成功ではないか」という。
司会の加藤浩次「枠組みというのは?」
小此木氏「石油に手をつけたこと。今後何かあれば、本格的に手をつけるぞということ」
現地の平本典昭記者によると、アメリカのヘイリー大使は、「北が平和的対応を取らなければ、より強い圧力をかける」と話し、中国側は、「北の体制を崩壊させないこと、対話が大事だ」と主張したという。修正協議は約1週間。従来の修正が1、2カ月かかったことを考えると、異例の短期でまとまった。
小此木氏「効果はある。今回みんなで決めたのだから、もし何かあっても、次の制裁に中国もロシアも反対できない。だから、次のための措置。次はやらせないぞという」
加藤は「日本の上空をミサイルが飛んでいる。核実験もやっている。日本にとって次はあるのかと思ってしまう」
小此木氏「コントロールは難しい。封じ込めながら、外交で応じるしかない。北の瀬戸際政策がいつUターンするか」
北がどう出るか、これは誰にもわからない。