朝鮮半島情勢が緊迫するなかで、アメリカの識者の間で「日本核武装論」が浮上し、広がりつつあるという。
きっかけはNYタイムズ紙(2017年8月10日付)に掲載されたオバマ前大統領時代の大統領補佐官、スーザン・ライスが語った次の言葉。「北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低い。北朝鮮を事実上の核保有国と認めつつ実験や使用を抑制させるべきだ」。
こうした北朝鮮の核保有容認論が識者から出てきたなかで、日本の核武装論も浮上。例えば、軍事専門家のアンダース・コーがHPに「日本が自前の核兵器を持てば、すべての民主国家が安全になる。アメリカ軍が日本に駐屯しなくても済むようになる」と主張している。
北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)でターゲットにしているのはアメリカで、日本が核武装して「すべての民主国家が安全になる」という理屈は意味不明。
米は他国のための核を使うか?
だが、なぜアメリカで日本核武装論が出てきたのか考える必要がある。核兵器の悲惨さは被爆国だけでない。使用した国も後々まで十字架を背負うことになる。アメリカでは他国のために核兵器を使用するのには抵抗があると思っているのではないか。
そんな懸念からか、北朝鮮の今回の核実験に呼応し自民党の石破茂元防衛相は3日(2017年9月)、石破派研修会で「北朝鮮の核・ミサイル能力は今までと格段に違っている。(アメリカの)核の傘の実効性を検討しないといけない」と語った。
スタジオにゲスト出演した元自衛艦隊司令官の香田洋三も「独立国として核を持つ権利はあるが、いつ、どういうタイミングで持つか、あるいは持たないのか論議する必要はある」と話す。
青木理(元共同通信記者)は「唯一の被爆国が核を持って威嚇する。まして北朝鮮という暴走国家に付き合う形で(核保有国に)入って行っていいのか。納得できない」という。
春名幹男氏(国際ジャーナリスト)も「唯一の被爆国・日本は平和でもって解決するのが意地だと思う」。
日本が核兵器を持ったとしても、後々のことを考えれば歴史的繋がりもあり、隣国に向け絶対に核兵器は使用できない。抑止力しか意味のない核兵器より別の方法を真剣に考えるべきだろう。