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オリンピックのためなら何でもあり?新国立競技場建設で23歳「残業自殺」

   8月29日の夕方だった。東京の千駄ヶ谷近くのゴルフ練習場へ行くとき、新国立競技場の前を通りかかった。すると、何人かの労働者風の人たちが集まって、横断幕を持って声を上げていた。急いでいたのでよくわからなかったが、週刊文春で報じている新国立の建設現場で働いていた高橋昭(仮名・当時23歳)が自殺したことへの抗議だったようだ。

   週刊文春によれば、高橋は大成建設の一次元請として地盤改良工事を担当する社員100人を超える専門業者の社員だったそうだ。現場監督として重機の管理をしていたが、今年3月に失踪して、翌月、変わり果てた姿で発見された。

   その後に明らかになったのは、異常な長時間労働だ。死ぬ直前の2月には212時間というものすごいものだった。当初、現場監督は3人でやっていたが、1月に異動で2人になり、さらに工事の遅れを取り戻すために重機が増え、彼は昼に休憩をとる時間もなかったという。

   それに加えて、「作業が遅い」と職長や部長に暴言を吐かれていたそうだ。そのくせ、自分たちは喫茶店に行って若手に多くの業務を押し付けていたと、同じ現場で働いていた人間が話している。「元請の大成の社員は、残業時間を八十時間以内で申告するよう指示を受けていますが、現場社員の多くは百五十時間近く働いている」と大成の社員もいっている。

   高橋は失踪する直前、俯きながらフラフラの状態だったという。新国立はプレ大会の19年11月末までに完成させなければいけない。そのためには、死人が出てもいいから、なんとしてでも完成させろと上から指示が出て、そのしわ寄せは下請けの労働者にいくという構図は、相も変わらずである。

   こんなことをしていれば第2、第3の自殺者が出る。垂れ幕を持っていた人たちは、大成に対して、労働者の権利を守れ、長時間労働をなくせという抗議だったのだろう。

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