北朝鮮なぜこのタイミングでミサイル発射? 3段式の『火星13』の可能性

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   北朝鮮が29日(2017年8月)午前5時58分に発射した弾道ミサイルが、北海道・襟裳岬上空を通過し、太平洋上に落下した。

   北朝鮮は1998年8月31日にテポドン1号を日本の上空を越えて三陸沖の太平洋上に落下させたことがある。これは人工衛星の発射とされ、弾道ミサイルとしては今回、初めて我が国上空を通過したことになる。

   このため安倍首相も「我が国を飛び越えてミサイル発射という暴挙はこれまでにない深刻かつ重大な行為で、断固たる抗議を北朝鮮に行うとともに国連の安保理に対し緊急会合を要請。北朝鮮に対しさらなる圧力の強化を国連の場で出していきます」と厳しい口調で批判した。

   韓国軍などの情報によると、今回の弾道ミサイルは平壌市須安から発射された3段式のミサイル。

   最高高度550キロと見られ、これまでの高く打ち上げ飛距離を抑えるロフテッド軌道を取らず、通常の軌道で飛行させたのが特徴。ミサイルは襟裳岬上空を通過し、同岬の東約1180キロの太平洋上に落下したとみられている。

   ミサイルの種類は検討中だが、北朝鮮はこれまで燃料を多く積める3段式のICBM(大陸間弾道ミサイル)『火星13』の発射を示唆していたことから『火星13』の可能性があるとみられている。

   北朝鮮の金正恩委員長がグアム島周辺へのミサイル発射を「しばらく様子を見る」と発言したのに対し、トランプ大統領は先週22日に「金委員長はアメリカに敬意を示し始めた」と称えたばかり。

   では、なぜこのタイミングで弾道ミサイルを発射させたのか? スタジオにゲスト出演した辺真一・コリアレポート編集長は次のように指摘した。

「金委員長がアメリカに通告した『しばらく』は何を指すのか米韓軍事演習ですよ。再三にわたり中止するように求めていた。中止するなら核実験をやめてもいいとまで言っていた。にもかかわらず強行した。この結果、ミサイル発射に踏み切ったとみています」

   辺編集長はこうも言う。「トランプ大統領は『軍事プレッシャーが効いた』とみていたし、ティラーソン米国務長官も『国連安保理の制裁が効いた』と発言していたが、大きな勘違い、早とちりだと思う」

北はアメリカに秋波送る

   一方、同じくゲスト出演した武貞秀士・元防衛研究所統括研究官は「ただし北朝鮮がまだアメリカに秋波を送っている姿勢は変わっていないと思う。グアムに向けて打つのはリスクがあると考え、日本の上空を越えて撃った。打つ方向を変えたのは北朝鮮流の計算だろう」。

   ミサイルを飛行させたのは550キロ上空で領空(100キロ以下)ではないかもしれないが、日本にとっては断りもなく住宅の屋根の上を、危険なミサイルに飛行されたことに変わりはない。いつまでも好き勝手にさせるわけにはいかない。

文   モンブラン
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