森圭介アナが「東京駅のすぐそばに先週、牧場ができました」という。なんだそれは? 以前大手町のビルの中に、水耕栽培の野菜農場ができたというのはニュースになった。実利もあった。しかし、牧場?
牧場は確かにあった。これも大手町だ。東京駅の向かいにある「JOB HUB SQUARE」は、人材派遣会社の大手、パソナグループ本部ビルだ。その最上階13階だった。エレベーターを出ると、「大手町牧場」「Produced by 丹後王国(食のみやこ)」と書いてある。
ドアをくぐった先のフロアいっぱい、ガラス窓が広く開けたところに木製の柵があって、ウシがいた。ヤギがいた。ミニブタが走り回っていた。それらが入り混じって、干し草を食んでいる。アルパカもいる。仕切りの奥には、フラミンゴ、烏骨鶏......1000平方メートルの空間に、8種類、約60頭の動物がいた。ただ、窓の外は全部ビル、ビル、ビルだ。
パソナが酪農に関心もった
これを作ったのは、パソナグループだ。南部靖之代表は、ウシに餌をやりながら「びっくりでしょう」という。なぜこんなものを?
「まず身近に、自分が毎日食べているもの、特に酪農・チーズ・バター、お肉もそうなんだけれども、身近に知ってもらいたいということから、こういう牧場になりました」
確かに酪農家の戸数は激減している。この20年で、約3万7000戸から約1万6000戸へと減った(農水省統計2017年2月現在)。生乳の生産量減少で、バターが不足する事態にまでなっている。そんな酪農離れの現状をなんとかしたいというのが、牧場を作った理由なのだという。
研修やセミナーでパソナに来る人たちに、酪農への関心を高めてもらおう。さらには酪農に携わる人材の育成する場として活用したい、というのだ。
南部氏は、「就農者がどんどん減ってるでしょう。チーズ、バターも海外から入ってきますよ。それに負けないような人材育成もしていかないといけない。仕事のチャンスを自分たちで掴んでもらいたいなと思います」という。同じ趣旨から同社では以前、社内で野菜を自家栽培したこともあった。
夏休みで訪れる子供達も多い。「アルパカがふわふわで大きかった」などという。お母さんも「近場なので、わざわざ千葉とか行かなくても、手軽に動物に触れ合うことができる」なんていう。
HPから事前に予約すると、誰でも見学ができる。
森「坂口さん、こういう試みどうでしょう」
坂口孝則(経営評論家)「大手町ですよね。月額家賃は数百万円するはずなので、世界一土地単価が高い牧場は間違いない」(笑)
「酪農家の減り方なんですけど、中長期的に見ると、戦後から比べるともう数%くらいなんです。その中身を見ると、赤字だからやめたというより、希望者が少ない、後継者が少ない。だからその後継者を育てるために、子供でも少しずつ興味をもたせたらいい」
森「アクセスもいいですしね。ちなみに、季節によって動物が変わることがあるそうです」
会社としては、一種の道楽みたいなもの。それには本業がしっかりしていないと無理。確かに、人材派遣は景気に左右されない優良企業なのかな?