トランプ米大統領の側近中の側近で「アメリカ第一主義」を推し進め、『陰の大統領』と呼ばれていたスティーブン・バノン大統領首席戦略官が18日(2017年8月)、更迭された。その中で政権中枢の外堀を埋めたのは「軍人トリオ」と呼ばれる人たちだった。
では、北朝鮮対策で日米の防衛協力の強化を進める日本はどこへ向かうのか? スタジオでは、「米国の産軍複合体に牛耳られ、高い買い物を強いられるのでは」との声が上がった。
バノン首席戦略官は、昨年の大統領選では選対責任者となり、「アメリカ第一主義」を提唱し大統領選を勝利に導いた立役者と言われた。メキシコ国境沿いの壁の建設やイスラム圏からの入国禁止を唱え、TPP離脱や温暖化対策の『パリ協定』からの離脱では政権内の反対を押し切って進め、政権内で孤立状態にあった。
2月にロシアとの事前接触が問題となりフリン補佐官が辞任、7月にはスパイサー報道官とプリーバス首席補佐官が相次ぎ辞任、そして政権の支柱だった側近中の側近の今回の更迭と揺れ動き、政権発足当時からの側近でいるのはペンス副大統領だけとなった。
後釜には、穏健で国際協調路線の海兵隊退役大将、ケリー首席補佐官が座り、マクマスター補佐官、マティス国防長官を含め「軍人トリオ」と呼ばれる3人が政権中枢の外堀を埋める形になった。
更迭後にバノン首席戦略官は「我々がともに闘い勝利を収めたトランプ政権は終わった」と語ったが、今後のトランプ政権のゆくえはどうなるのか?
早稲田大学の中林美恵子教授は「バノンが去ったことでホワイトハウス内のゴタゴタはへるだろう。一方、アメリカ第一主義の考え方が薄れ、トランプ大統領を支えてきた白人労働者層の支持を失う可能性もあり、政権運営の厳しさは続くだろう」と見る。
日本は『イージス・アショア』を導入
そこで気になるのは、トランプ大統領が進める貿易政策で進める武器輸出の動向。日本はさっそく、緊迫する北朝鮮情勢を受けアメリカから要請があったらしい陸上配備型の迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の導入を決めている。
スタジオでは、テレビ朝日解説委員の玉川徹がこんな意見を。「(バノン更迭の)きっかけはバノンが『(北朝鮮対策で)軍事的解決策はない。忘れてしまえ。作戦開始30分でソウル市民1000万人が通常兵器で死なない方程式を証明しない限りは』と語ったこと。それをいっちゃおしまい、だというのをいってしまった。残ったのは産軍複合体に牛耳られたかな(という体制)。その結果、日本はいろいろ武器を買わされるのでしょうね」。
もともと北朝鮮が敵視しているのはアメリカだが、アメリカに守ってもらうという安上がり防衛を選んでいる以上、このパターンが続くのはやむを得ないのだろう。