米どころ東北では日照不足で今年の新米の収穫が心配されているが、新潟・南魚沼産のコシヒカリをもとにした世界一高い米がギネスで認定された。
その値段は1キロ1万1304円。では、栽培方法や味のどこが違うのか? 玉川徹(テレビ朝日解説委員)が取材し『そもそも総研』で伝えた。
この米は、2015年産米のコメ・食味分析鑑定コンクールの国際総合部門で金賞を受賞し、5119品目の頂点を極めた南魚沼産コシヒカリ。作ったのは南魚沼市の米栽培農家、関智晴さん(32)。その栽培方法を聞くと、手づくりにこだわった逸品だった。
「一つは、収量をあまり取らないこと」。一つひとつの株の本数を少なくし、普通の田んぼに比べ半分ほどにし、栄養分が行き渡るようにした。
「二つ目は、田植えの時期を遅らせ、わざと穂を出す時期を遅らせる」。8月中旬ごろから夜間の気温が低下し日中との寒暖の差が大きくなる。稲にその寒暖差を感じさせると甘みが出て美味しくなる。
「三つ目は、農薬を使わない」。稲が生長するまでに週に一度、手作業で除草を行うがこれが重労働という。
「さらに四つ目は、肥料にこだわり、化学肥料を一切使わずオリジナルの肥料を自分で作っている」。その中身は、魚や米ぬか、昆布、カニ殻といったものを微生物で発酵させたもので、ミネラルを大量に含ませることでおいしさプラス栄養価の高いコメになる。「これが他のコメと違う味を決める一番のポイントになっている」と自負する。
精米でさらに一工夫
しかし、世界一高い米を作るには、これだけでは終わらない。収穫された米をさらにおいしくするには精米までの特別な工程が必要だ。
関さんによって収穫された米が持ち込まれたのは、埼玉・坂戸市にある『東洋ライス』。雜賀慶二社長(83)は日本で初めて無洗米や金芽米の技術を開発したコメの第一人者。
持ち込まれた米からまず発芽力の強いものを選びさらに、同様に選別された5種類以上の農家の米を独自の比率でブレンドし約3カ月から半年間熟成させ、うま味をあげる。
そして最後に精米するのだが、こだわるのは金芽米に仕上げるときに使う特殊な精米機。この精米機を使うと、ぬかと白米の境にある最もうま味や栄養を含んだ「亜糊粉層」を残した米に仕上がるという。
出来上がった世界一高い米を試食した玉川「最初口に入れたときはわからないが、噛んでいるとそのうま味や甘みが分かってきた。52年生きて初めて」
スタジオで試食した高木美保(タレント)「香りが違うのでびっくりした。噛んで4秒ぐらいたちグーっと甘みが出てきた」
この米は1キロ1万800円で東洋ライスのHPから購入できる。