2020年の東京オリンピックに向けて工事が進む代々木の新国立競技場。取り壊された旧施設に付属していたスポーツ博物館には、日本のスポーツの歴史を飾る収蔵品が12万点もあった。今は仮の収蔵庫に保管されているのだが、新しい競技場に博物館はない。12万点が宙に浮いている。
この博物館は、旧国立競技場ができた翌年の1958年、秩父宮記念スポーツ博物館・図書館として整備された。64年の東京五輪をはじめ、歴史を重ねて関連資料約6万件、図書約6万5000件を持つ。これが2014年に取り壊されて、収蔵品は仮置き場にある。どんなものがあるかというと......。
東京五輪(1964年)の聖火トーチ、日本選手のユニフォーム。東京、長野の金銀銅のメダル。105年前、日本人が初めて五輪に出場したストックホルム(1912年)の陸上・三島弥彦選手のスパイク。陸上リレー用の木製のバトン。
選手からの寄贈品もある。東京五輪の体操女子で金メダル3、銀1を獲得したベラ・チャフラフスカ選手(チェコスロバキア)の体操着。モントリオール(76年)の体操女子の金メダリストで、たけしのギャグにもなったナディア・コマネチ選手のサイン入りユニフォーム。アトランタ(96年)のマラソン銅メダル・有森裕子選手が、「自分を褒めたいと思います」という名言を披露した時のゼッケン。
これらの行き場所がないのだという。そもそもの計画では、新競技場に博物館は含まれていた。しかし費用削減のため2015年、安倍首相が「白紙見直し」した際、「博物館などは設置しない」と削られてしまった。その後、隈研吾氏デザインの新競技場が決まったが、これには秩父宮様関連の展示スペースだけで、博物館はない。
保管料だけで年6000万円
現在の保管料(賃貸、光熱費)だけでも月500万円、年6000万円かかる。この先どうなるのか、博物館を新設するのか賃貸か、巡回展なども考えられているが、未だ決まっていない。
司会の加藤浩次「実際に見てはいないけど、お宝が沢山ある。2020年に外国の人も見るかもしれない」
宇野常寛(評論家)「これ自体が大きな問題だとは思わないが、これが象徴するのが五輪の仕切りのまずさ。五輪のために何かをやる、という発想が間違っている」
加藤「現実的にはどうしたらいい?」
坂口孝則(経営評論家)「民間に任せたらいい。6000万円のいう話があったが、グッズを買ってもらうとかで、1000円、2000円使ってもらえば、年間3万人で維持費は出る。民間のアイデアを絞ったら道は開ける」
宇野「やりましょうよ。結構おもしろいものあるんじゃないか」
加藤「民間も利益が出ないと......」
坂口「歴史を把握して、エンターテインメントにもなるような場所は必要」