7月期ドラマの中で、いろんな意味で話題を呼んでいるのがこの「過保護のカホコ」だろう。脚本の遊川和彦は「女王の教室」「家政婦のミタ」「○○妻」(すべて日テレ)といった世間をざわつかせるようなドラマを得意としている。この「過保護のカホコ」も間違いなくその路線だ。
究極の箱入り娘カホコを演じるのは若手演技派女優・高畑充希。カホコを溺愛し、娘のことはすべて把握しなくては気が済まないモンスター母を黒木瞳、そんなふたりをどこか冷めた目で見つつも、何も言えず、心の声だけは饒舌な父を時任三郎が演じる。
朝、母に起こして貰い、着ていく服もすべて母親の言いなり、駅まで車で送って貰い、学校に行ってもLINEでやりとり、......。そんな彼女が、ある日、同じ大学に通う画家志望の苦学生・麦野初(竹内涼真)と偶然出会い、「お前みたいな過保護が日本をダメにするんだ!」と言われて覚醒。過保護の殻を破り、自分探しするストーリーだ。
いろいろとやり過ぎて、漫画原作ではないのに漫画みたいな展開だ。父は心の声で、娘はまだおたまじゃくしのしっぽがとれないかえるだったり、妻はミーアキャットだったりと人を動物にたとえると、スマホアプリ「SNOW」のように、一瞬、顔や体が動物っぽく変わるところなど、遊び部分があるところで、ドラマ全体にファンタジー感を醸し出している。
とにかくカホコのキャラが強烈過ぎてとまどった。喋り方といい、考えごとをするときのポカンとした表情といい、走り出したら止まらないところといい......。これがまだ小学生だというのならアリだろうけど、とても女子大生には思えない。この子は大丈夫なの?? と心配になるレベル。実際、ネット上でも、"「カホコ 発達障害」"、"女版「フォレスト・ガンプ」!?"などというワードが飛び交う。
第3話。そんなカホコが母に麦野くんのことを悪く言われて猛反発。「黙れ黙れ黙れ黙れ、うるさいうるさいうるさいうるさい、もうこれ以上、カホコの邪魔しないで!」と反発、そこから一気に麦野くんのところへ走って行き、告白するクライマックスシーンはなかなかの感動モノ。息もつかさない展開で、見入った。なんだかうざいと思っていたカホコだが、3話目にして「カホコ、がんばれ」と応援したくなった。高畑充希、やっぱり巧い。
基本、母の実家、父の実家、そして、学校では麦野くんだけと、交際範囲の狭いカホコに合わせてか、登場人物も少ない。カホコが自立できるのか? カホコの初恋は実るのか?
これからが楽しみだ。
主題歌は星野源の「Family Song」。
(水曜よる10時~)
くろうさぎ