長崎の総合リゾート「ハウステンボス」で今、夜空に浮かぶ新しいパフォーマンスが展開している。使うのは特別仕様のドローンで、何と300機。これがコンピューター制御で、色と光による壮大な立体図形を描き、動く。仕掛けているのは半導体のインテルだ。
ハウステンボスは、世界最大級のイルミネーションやロボットが接客するホテルなどをこれまでに導入するなど、最先端技術が大好き。一方インテルは今年(2017年)2月、アメリカのスーパーボウルの会場上空に、ドローンを使って巨大な「星条旗」を描いて見せて、観客をあっと言わせた。
「スッキリ」は、日本では初となる「インテル Shooting Starドローンライトショー」の舞台裏に密着した。初日は7月22日だったが、動き出したのは5日前。東京ドーム33個分という広大な敷地の、海に近い場所に拠点が設けられた。
無線通信でドローンを自動操作
プロジェクトのマネージャーはナタリー・チェンさんという若い女性だ。これまでに世界6カ国で約100のショーを成功させてきた。初の日本に、「ちょっと興奮している」と言っていた。
技術の肝は、GPSと無線通信環境だ。ハウステンボスが選ばれた理由も、たくさんの人に見てもらえるという以上に、GPS感度だった。300機ものドローンを人が操作するのは不可能。そこで飛行位置を一つひとつプログラミングして、ほぼ自動で飛ばす。通信環境が悪いとできない技だ。
企業秘密だらけだが、まずはドローン。これが軽い。「330グラムしかない」とチェンさん。通常のドローンはカメラがついたりして1キロくらいはある。プロペラは4個。下部にLEDライトが付いていて、赤、緑、青、白を元に、40億色という微妙な調光が可能だ。ドローンショーのために開発された特別仕様だという。
そして、2週間かけて作ったプログラム通りに、パソコンの操作で、飛行高度、位置取り、調光、全てが制御できる。ショーは8分間。動力はバッテリーだから、長時間は保たないようだ。
また、パソコン上で、ドローン全体がどんな形状を描くのかもみることができる。まずは3匹の巨大な青い「エイ」が泳ぐ。続いて地球だ。大陸が立体になって浮かび上がり、帆船が現れる。
ただ、大敵が一つある。風だ。ドローンが実際に飛ぶのは海の上だから、強い風だと、ドローンはひとたまりもなく、海に叩き落とされてしまう。風の強弱で図形も乱れてしまう。事故を防ぐために、防御ライン(壁)を設定して、そこを越えると、ドローンは海に落ちる。
2日前のテスト。ドローンは高度120メートルで、美しく「エイ」を描き、地球を回した。最後には一斉に拠点まで戻ってくる。成功だった。
そして初日。1万5000人の観客が見守る中、まず花火が打ち上げられたが、ドローンには好条件の無風が、花火の煙を空中に止めて、視界が悪くなった。これでは飛ばせないと時間を遅らせて、9時45分にスタートとなった。正しい判断だった。音楽は平原綾香の「Jupiter」。
天空に繰り広げられた壮大なショーは、観客を魅了した。「HTB25(ハウステンボス25年)」に続いて、「Intel」の文字。観客は「素晴らしい」「素敵でした」を連発していた。
岩本乃蒼アナ「夜空を彩る花火に代わる新しいもの」
ウェンツ瑛士(タレント)「音楽とコラボできますね。花火という歌があるから、ドローンという歌もできるでしょうね」(笑)
司会の加藤浩次「花火は消えちゃうけど、ドローンは戻ってくる」
ショーは今月5日まで。ただし大敵は風。台風が来なければいいが......。