専門のムック本が発売されたり、「刀剣女子」と呼ばれる名刀好きの若い女性が増殖するなど、日本刀がブームなのだそうだ。そんな盛り上がりのなかで、日本刀ファンなら誰もが知る名刀「乱藤四郎」がネットオークションに出品されて騒ぎとなった。
乱藤四郎は鎌倉時代の刀鍛冶・粟田口吉光の作品で、名刀中の名刀といわれる。1億円超の値が付く短剣だ。そんな名刀が20日(2017年7月)、最低価格1万円でオークションサイトに出品され、見る見るうちに値段は吊り上り、25日には300万円の値がつけられた。出品者は「旧家コレクターよりお預かりした」と説明し、短刀の写真と、証明書に当たる重要刀剣指定書の写真も掲載していた。
鎌倉時代の「乱藤四郎」本物の持ち主が名乗り
これに日本刀研究家の澤口希能氏が、「本物の乱藤四郎の所有者は自分であり、出品された乱藤四郎は偽物だ」とクレームを付けた。たしかに、刀に刻まれた銘が本物とはわずかに異なり、刀の手元にはめる金具「ハバキ」も本物は二重ハバキなのに、出品された刀は一重だった。重要刀剣指定書の番号も、発行者に当たる日本美術刀剣保存協会会長の名前も異なっていた。
ニセ乱藤四郎の出品が発覚したのは、刀剣女子が澤口氏に「乱藤四郎を手放したのですか」とメールを送ったことだった。びっくりした澤口氏は怒りの声明を出し、オークションサイトの出品者は取り下げた。いかにもネット社会にありがちな偽物騒ぎがだが、それがわずか5日間で発覚したのもネット社会ならではだろう。
相対取引でないこわさ
長島一茂(スポーツキャスター)「ネットでというのは、今風の詐欺ですね。伝統ある品物ほど偽物があるので、実際に手に取ってみないで買ってはいけないんです」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「トークショーみたいなところで、『これはいいものです』と言われて買ったら偽物だったということもあります。今回の事件はネットだから偽物が発覚したとも言える」
作家の吉永みち子も「相対だったら目の前の1人を騙せばいいけど、ネットだとそうはいかないということ」とうなずく。
長島「こういうのは、オークションを主宰する媒体の側の責任も考えたほうがいいですよね」