昨日(2017年7月24日)行われた衆院予算委の閉会中審査は、加計学園の獣医学部新設に安倍首相がどこまで関わったかが問われたが、5時間の大半をかけた論戦でも、特別扱いはない、の一点張り。官邸スタッフは肝心のことは「記憶にない」。ひたすら低姿勢ではあったが、実質何も変わっていなかった。
委員会室が「エーッ」という疑念の声に包まれたのは、大串博志氏(民進)の「加計学園の申請をいつ知ったか」という質問に、安倍首相が「1月20日の決定時」と答えた時だった。これはどう考えても不自然だ。
加計学園の理事長、加計孝太郎氏とは学生時代からの友人。家族ぐるみの付き合いで、食事やゴルフをよくする。これが、2013年は1回、14年が3回、15年が3回だが、獣医学部新設が国家戦略特区の対象になるかどうかの佳境だった16年には、7回も会っているのだ。
首相は国家戦略特区諮問会議の議長だ。1月20日には、首相自ら獣医学部新設が「50年ぶりに認められた」と発表している。その時初めて、「お友達」が経営する大学が申請していたことを知ったというのだ。
「総理のご意向」「官邸の最高筋の指示」などの文書は16年の秋だ。「文科省の岩盤規制に穴を開けた」のはいいが、その穴から顔を出したのが「お友達」でも、なんとも思わない?
安倍首相は、低姿勢だった。「李下の冠」の話を持ち出し、「疑念を抱かれるのも当然。配慮が足らなかった」と、実に7回も繰り返した。しかし、性根は変わるはずもないということか。
安倍首相の「平身低頭作戦」
24日の審査を見た印象を、時事通信の田崎史郎氏は「平身低頭作戦」と書いて、「これまでのつっぱりがなかった」。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「『丁寧に』従来の主張を繰り返し」と書いた。「謙虚にはなったが、内容はこれまでと変わってない。支持率低下の影響」と。
司会の小倉智昭「申請を知ったのが1月20日、にはどよめいた」
田崎氏「相当自信を持って答えていた。乗り切れる自信があるんだろうなと」
伊藤氏「加計さんてすごいと思う。安倍政権になってから、5回も申請が却下されているのに、一度も愚痴をこぼしてないのかなと。僕だったら言う」(笑)
この後に、前川喜平・前文科事務次官の証言で、木曽功・内閣官房参与(当時)からの「催促」や、和泉洋人・首相補佐官が「総理が言えないから、私が代わっていう」といった話が出たが、2人とも「記憶にない」と否定した。
小倉「あまりに記憶がないというと、隠してると思われる」
伊藤氏「首相はまた、知っていようがいまいが、便宜を図ることはない、とも言っている。また、6月に福島瑞穂氏の質問に、『申請すれば、諮問会議の議長は知りうる』と答えてもいる。それをあえて知らないというのか」
小倉「加計さんが安倍さんに迷惑をかけたくないのなら、出て来ればいい」「あまりに丁寧だと、逆に疑いを持たれるかもしれない?」
25日は参院予算委でも閉会中審査が行われた。参院野党は論客が揃っている。新たなことが出てくるかどうか。